懸念されるサービス残業の常態化
” オーストラリアの平均的フルタイム労働者はサービス残業で年間1万ドルの収入を逸失しており、平均的パートタイム労働者でも逸失収入は年間$7,500にのぼる。
また、働き過ぎは心身の健康と家庭生活を損なう。
国税庁(ATO)の職員が毎日9分間の残業を求められたことに反発したことが報道され、無給のサービス残業問題が再燃した。ABC放送(電子版)が伝えた。
オーストラリア・インスティチュート内Centre for Future Workのジム・スタンフォード氏は、「ATOの職員は毎日9分以上のサービス残業をしていることは確かだ。
労働者が超過勤務を1分刻みで記録するようになれば、経営者が対応を迫られるだろう。国内経済全体で毎年1,106億ドル分のただ働きが行われている」と発表している。
2016年の調査では、フルタイム労働者の場合、平均で週に5時間の無給超過勤務を行っているという数字が出ている。
その内訳として、残業、休憩時間も働く、仕事を家に持って帰って片付ける、勤務時間外にも仕事の電子メールを読み、返事を出すなどとなっている。この無給超過勤務が年間1万ドルにもなる。
Fair Work法では、1週間のフルタイム労働時間を38時間、それに妥当な範囲での残業と定めているが、現実には週38時間で切り上げている労働者はほとんどいない。
アデレード大学のアンドリュー・スチュワート教授は、「オーストラリアには長時間労働の風土がある」と語っているが、
スタンフォード博士は、「労働者が失業を怖れるあまり、上司を喜ばせるために少しのサービス残業をする傾向がある。
労働市場は苛酷なほどに競争率が高く、経営者は労働市場が買い手市場だということをよく承知している。
特に若い労働者にとってはそれが当たり前になってしまっており、労働者は無力感を味わっており、非常に危険な状況にある」と語っている。
また、「このような状況は経済にとっても生産性にとっても大きな問題になっている」と分析している。”(出典:日豪プレス)