2022年10〜12月期GDP、前四半期0.5増
” オーストラリア統計局が1日発表した2022年10〜12月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)は前四半期比で0.5%増加した。
物価高の影響を受けて個人消費の伸びが鈍化し、7〜9月期の0.7%成長から減速した。前年同期比では2.7%増だった。個人消費は前期比で0.3%増にとどまった。
21年10月にシドニーやメルボルンで新型コロナウイルス感染拡大防止のロックダウン(都市封鎖)が緩和されて以降、伸び率は最低水準となった。
個人消費を項目別にみると、「衣類・靴類」への消費が前期比で2.7%下落したほか、「家具・家庭用設備」も1.2%減だった。統計局は足元で続くインフレが「家計を圧迫し始めた」と指摘した。
輸出は同1.1%増だった。新型コロナを受けた規制で豪州への入国を控えていた留学生に加え、海外からの旅行客が増加し「旅行サービス」が18.9%増えた。アジア各国の堅調な需要で石炭の輸出も前期比で8.2%増となった。
GDPの発表を受けて記者会見したチャルマーズ財務相は「インフレが最大の課題だ」としつつも、1日に発表された1月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比7.4%と、12月(8.4%)から改善したと指摘し、「最悪の事態が過去のものとなったと示す兆候だ」と楽観的な姿勢をみせた。
ただ、インフレ率は豪準備銀行(中央銀行)の政策目標(2〜3%)を大きく上回って推移している。
中銀は今後も利上げを継続する姿勢を示しており、現在3.35%の政策金利は今後4%台まで上昇するとの見方が強い。利上げが続けば住宅ローンを抱える家計の負担は増し、成長のさらなる重荷となる。
国際通貨基金(IMF)は1月末に出した予測で、豪州の23年の成長率を1.6%と0.3ポイント引き下げた。
22年は3.6%成長を見込むだけに減速は顕著になる。英調査会社キャピタル・エコノミクスのマーセル・ティエリアント氏は「豪消費者は今後、財布のひもを引き締めて貯蓄率を上げる」と指摘し、23年の成長率は1.2%になるとの見方を示した。”(出典:日本経済新聞)