オーストラリアを日豪関係に40年以上携わる田中豊裕さんに学ぶ一冊「すこぶる良好な対日感情」:『豪州読本:オーストラリアをまるごと読む』おさらい ㉓

『豪州読本:オーストラリアをまるごと読む』のおさらい編、第23弾.-

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<< 2016年1月7日投稿:画像は記事にリンク >> オーストラリアを日豪関係に40年以上携わる田中豊裕さんに学ぶ一冊「深まるアメリカとの関係」:『豪州読本:オーストラリアをまるごと読む』おさらい ㉒

最終章となる「第十章  日豪関係の歴史と将来」から「対日感情」に関する項目からの抜粋です。

嫌悪から好感への時代経過

” 第一次世界大戦のときは、オーストラリアと日本は同盟国としてドイツと戦ったが、第二次世界大戦ではお互いが敵味方になった戦った。

この結果、日本に対する恨み、憎しみは相当なものであったと推し量れる。

終戦で帰国した兵士、その家族、知人の対日感情は大変悪いものがあった。

国交正常化が進み、1953年に日本大使館が開設され、1957年に日豪通商条約締結を契機に、また日本が高度成長期に入り、

オーストラリアから原料を輸入し、よい製品をオーストラリアに輸出し始めてから次第に薄れて行った。

さらには第二次世界大戦の退役軍人の生存者数も年々減少する中、社会全般の対日感情に改善が見られた。

1970年以降は逆に日本に対する感情も良好なものに変わっていった。日本、日本人を見下す風潮から、逆に日本、日本人を見上げ、尊敬するようになった。

1960年代からの急速な経済関係の緊密化、特に両国が経済的に補完関係を確立したことが寄与している。

また、日本が戦後の荒廃から奇跡的に立ち直り、高度成長を達成し、世界の経済大国になったことも手伝っている。

その結果、現在では対日感情の大変よい国のひとつになっている。また、良質な日本人移住、移民も対日感情の良さに反映している。

ごく最近の世論調査によっても、熾烈な戦いを交えた太平洋戦争についての印象を70%以上の人が気にしていない、まったく問題ないという回答をしている。”(No.4520-/数値は電子書籍のページ数、以下同様)

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オーストラリア人が持つ日本人像

” オーストラリア人の日本人に対する認識に関して、以前オーストラリアの会社が調査をしたことがある。

そのときの認識は「日本人が規律正しく、几帳面、勤勉でまじめ、知的で教育水準が高く、伝統と権威を尊重し、

個人主義というより、社会集団的で、家族を重んじ、礼儀正しく、慎み深く内向的である」であった。

しかしこの内向的、慎み深さがオーストラリア人の間で誤解を生んだり、日本を不可思議な国民だと思わせていることも事実である。

さらに、日本は与えるもの、分かち合える者として見られていない。

すべて自国のためで、共同体の意識が希薄で、環境搾取的であると認識されている。

日本、日本人は、オーストラリアにおいて、もっと日本の考え方、行動の理由などを説明し、理解を求める必要がある。

オーストラリア人の中には日本人の顔が見えないという指摘をする人もいる。

豪州の国民性は、純粋無垢である。これからも日本は奢ることなく、誠意を持って付き合い、現地社会に溶け込んで積極的に日本をもっと知らしめる努力を惜しまないことにより、さらに緊密な日豪関係が醸成されていくだろう。”(No.4538-4547)

項目の総括として、両国の在るべき姿について・・

” 日豪はアジアの南北両端に位置し、政治的安定、経済的繁栄、高い教育水準を享受し、民主主義と自由に恵まれた国である。

今後政治、経済、外交、教育、医療、文化など多岐にわたって日豪の協力、パートナーシップによってこのアジア地域での貢献が期待されている。

そのためには両国がそれぞれの国をよりよく知り、研究しなければならない。

今までは、オーストラリアの日本に対する認識の方が、日本のオーストラリアに対するものより先に進んでいる。

日本サイドのオーストラリア研究が今後一層発展することを期待する。”(No.4546)

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分かり合うために出来ること

著者の田中豊裕さんの提言を交えた形でまとめていますが、オーストラリアに限らず、

「世界は日本人を待っている」

との指摘は、高城剛さんや帝王學の徳山暉純先生など多くの方に共通したもので

出ずる行為、訪問国で所与の目的を達する裏側では、自国及び相手国に対する深い理解が求められることになるでしょう。

オーストラリアについては本書がその一助を果たしてくれるものと思いますが、

他国でも、その国について精通された方による著作があれば、日本人の活躍の場が広がるように実感しました。

次回も第十章から続けます。

 


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