見方が分かれる富の格差に関する論議
” 7月26日、中銀のフィリップ・ロウ中銀(RBA)総裁が、「オーストラリア国内の富の格差はますます悪化している」と発言、
「格差は改善されつつある」とのスコット・モリソン財相の発言を真っ向から否定した。ABC放送(電子版)が伝えた。
連邦議会野党の労働党は、一般労働者の賃上げの足踏みに比べて企業役員らの巨額の報酬を取り上げ、富の格差を2019年選挙の争点とする戦術を選んでいる。
しかし、7月24日、連邦保守連合政権のモリソン財相が、「国内の富の格差は現実には改善されつつある。労働党の主張する国民の間の所得の格差が悪い方向に向かっているという考えを受け入れることはできない。その考えは事実に反している。
最近の国勢調査で、世界的に認められている富の格差の指標であるジニ係数というもの、オーストラリアの場合、このジニ係数が悪い方向、格差拡大に向かわず、実際には良い方向に向かっている」と発言した。
ABC放送のインタビューで、「富の格差が拡大しているのか、改善されているのか」と質問を受けたロウ博士は、「拡大している」と答えている。
また、「金持ちと貧乏人の格差は近年ますます広がっているが、富と収入とは別の概念だ。
この5,6年の間に不動産価値が大きく膨らんでいるため、不動産を持っている人々、それが金持ちであることは多いのだが、その人達の資産価値は大きく膨れあがっている。
そのために、収入の格差よりも富の格差の方がはるかに大きくなっている」と語っている。
ロウ博士は、「収入の格差も広がりつつあるが、富の格差ほどではない。収入の格差が広がっているのは中低所得労働者の賃金上昇率が足踏みしているためだ。そのために経済が減速している。
経済成長のためには賃金上昇が必要だし、オーストラリア経済はそれが可能だ」と発言していた。
労働党のアンドリュー・レイ影の副財相は、「ロウ総裁は国民がすでによく知っていたことを確認した。格差が広がりつつあるということだ。
労働党は税制の不公平を解消し、教育に適切な予算が与えられるよう主張してきた。モリソン財相には国民の声を聞かせ、問題があるということをはっきりと認めさせようではないか」と語った。”(出典:NICHIGO PRESS)
富の格差が拡大していることは、オーストラリアに限ったことではなく、世界各国で指摘されていることで、
更に、その傾向が強まっていくことが大方の予想(世界の富を1%の人たちが持つように収斂されていく)となっており、
セーフィティーネットを如何に張り巡らすことが出来るか、そこで議論の質(実現性)を高められるかが肝であるように思います。