先週、中間記をアップロードした
爆笑問題 太田光さんの『芸人人語』を読了。
月刊誌(『一冊の本』)での連載がまとめられた著書で、後半の話題が、
” 実はこの世界に不要な人などいない。逆に言えば絶対に必要な人もいない。そんな当たり前のことが見えなくなる。
感染が終息するまでと頭ではわかっている。しかし人は自分の存在意義を問わないでいられない。自分はこの会社に必要なのか。この世界に必要なのか。皆が等しく苦しいから誰に相談することも出来ない。”(p186)
など、時節柄を反映した内容に偏ってしまったものの
その環境下、
” リモートの出演者との会話では「ディレイ」と呼ばれる「時間差」が生じる。それによって会話の「間」が狂う。
人は普段それほど意識をしていないかもしれないが、話と話の間によって会話を成立させている。呼吸と言ってもいい。
これがズレると本来のニュアンスが伝わらない。意思疎通においてとても重要な要素だ。日本の演芸において何より重要なのはこの「間」だ。”(p206)
というプロしての苦悩に、
” 今まで人類は、戦争以外で、これほど世界中が同じ体験をしたことはないと思う。しかも今回は殺し合いではなく、助け合わなければならないという共通の体験だ。
そして相手は人ではなくウイルスであり、人と人は憎しみをぶつけ合うのではなく、互いの苦しみを共有しなければ克服出来ないであろうという体験だ。
過去の戦争の時と違い、今の子供達は、SNSやオンラインゲームなどで世界と繋がっていて、他の国々の友人と会話が出来、それぞれの状況を知り、互いの恐怖を理解し話し合うことが出来る。”(p238)
といったスケールの大きい見方まで、
お笑い芸人の方々の著書を読んでよく感じる、ご自身の内面と強く繋がられていることは本書でも色濃く感じられました。
太田光さんの頭の中を巡る20篇
内容だけ読んでいると、とてもお笑いの芸人の方が書いたとは思えぬ文面に、一本だいたい12、3ページといった長めの尺から
繰り広げられる脱線を含む展開から、太田光さんの頭の中を垣間見る思いに、言及された見方に共感したり、発見させられたり、考えさせられたり、といった内省的なプロセスが、軽く刺激的で心地良かったです。