2017年末から2018年始と年またぎで読んでいた
『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』を読了。
前半は、中間記↓にまとめていますが、
後半の
第4章 なぜ「ネットワーキング」はうまくいかないのか
第5章 「できる」と自信を持つのに効果がある?
第6章 仕事バカ・・・それとも、ワーク・ライフ・バランス?
結論
といった章立ての中で印象に残ったところでは
さまざまなところで重要性が説かれる「自信」に関して・・
自信を凌駕する、その概念とは・・
” ズバリ言うと、成功する人は最初から自信を持っている。そして成功をおさめるにつれ、ますます自信を持つようになる。”(p239)
” 自信はなぜそれほどまでに強力なのか?自信があると、コントロールできているという感覚が得られるからだ。
マーシャル・ゴールドスミス(註:『エコノミスト』誌がトップ実業家に影響を与える思想的指導者と認定)は次のように説明する。
自分は成功できると信じている者は、ほかの者なら脅威とみなすところにチャンスを見いだす。彼らは、不確実性や曖昧さを恐れず、喜んで受けいれる。
彼らは、より多くのリスクを負い、より大きな利益を達成する。選択肢がいくつかあれば、自分自身に賭ける。
成功する人は、「内部要因思考」とする傾向が高い。すなわち、自分は運命の被害者だと考えない。
同様に自分の成功も、運や偶然、定めによるものとは思わず、自分自身のモチベーションや能力の賜物だと考える。
たとえ幸運によるところが大きくても、成功を引き寄せたのは自分だという信念を持ち続ける。”(p242)
但し、自信がもたらす弊害についても指摘されており
” 初心者は、まだ得意でないことに励み続けるために、肯定的なフィードバックを必要とする。しかし、やがて転機が訪れる。
次第に熟達するにつれ、いっそう腕を上げるために、彼らは否定的なフィードバックを求めるようになる。
初心者のころと違い、今や正すべき点はわずかだからだ。”(p261)
” 自信が不足していると人は悲観的になるが、悲観主義と野心がコンビを組むと、目覚ましい業績をあげることがよくある。
何の道であれ、究めるためには自分自身が最も厳しい批評家になる必要があり、出発点から自信満々だと、それがほぼ不可能になってしまう。”(p261)
など、一辺倒ではない、留意点が示されているのは本書の特徴と感じました。
また、自信よりも大切なこととして
” 自信に代わる概念があるだろうか?教育心理学者でテキサス大学准教授のクリスティン・ネフは、それは「自分への思いやり(セルフ・コンパッション)」だという。
自分自身への思いやりを持てば、失敗したときに、成功の妄想を追う必要もなければ、改善の見込みがないと落ち込む必要もない。
ばかげた期待を膨らませたり、目標に届かないと自分を責めたりしてヨーヨーのように上がり下がりすることもない。
私はなんて素晴らしいんだ、と自分に嘘をつく必要もない。そのかわり、うまくいかないときには、自分を許すことに心を注げばいいのだ。”(p264-265)
” 読者のなかにはこう考える人もいるだろう。
いつも自分を許していたら、受け身になってしまうのではないか?
自尊心を維持する心配がなくなったら、、意欲や鋭さも失ってしまうのではないか?
しかし実際は、セルフ・コンパッションが足りない人ほど受け身になるのだ。
あなたが自信満々なとき、自分の認識に合わないフィードバックは無視しがちではないだろうか?
自信がないときは問題に目を向けるが、それを克服する試練に堪えられそうにない。
ところがセルフ・コンパッションはあなたに問題を直視させ、それを解決するための手立てを実行させる。
調査によると、この自分に寛容なアプローチなら、問題に取り組んだ結果落ち込むことも少ないので、問題に対してより積極的に向かうこともできる。
つまり、セルフ・コンパッションがある人々は自分を責めないので、失敗をそれほど恐れず、ひいては先延ばしを減らし、グリットを高めることにつながる。”(p266-267)
この指摘は、著書で
” 一つだけ、僕がしたことがあります。それは、過去の自分と今の自分を全肯定すること。中途半端ではいけません。
今までの自分、今現在の自分を、いいところも、ダメなところも100パーセント、いや、120パーセント、140パーセント・・・とにかく、全面的に、丸ごと受け入れるのです。”
と、述べられていた性格リフォーム心理カウンセラー心屋仁之助さんの論と重なるところを感じましたが、
本書(『残酷すぎる成功法則』)の著者エリック・バーカーは、セルフ・コンパッションの重要性に関して
” 自信に関する理論は、きれいさっぱり忘れてしまおう。”(p264)
と記すほどで、印象に残る主張でした。
科学的に検証された成功法則から導かれる指針
橘玲さんが書かれた監訳者解説を含めると全366ページに及び長さは否めずも、
巻末にリストアップされた邦訳文献の豊富さなど、あまた知られる成功法則の数々に科学的アプローチを用いて斬れ込まれた一冊、
ヒントであったり、認識を質される方、少ないないであろうときっかけとなる著書であるように思います。