先週、読み始め記をアップロードした ↓
『ジョン・ウォーターズの地獄のアメリカ横断ヒッチハイク』を読了。
その後、読み進めた
起こりうるかぎり最悪のこと
本物の旅
で、「最悪の旅」が夢想された「起こりうるかぎり最悪のこと」は、最初の「起こりうるかぎり最高のこと」でガツン!とやられていた分、感覚的な慣れは芽生えていたものの生々しい描写などジョン・ウォーターズの世界観を色濃く改めて。
ハイライトは「実際、どうだったのか?」という「本物の旅」で、それまでの「最高の旅」「最悪の旅」とは大きくトーンが異なり、
” オフィスで、スーザンとトリッシュがぼくのヒッチハイク計画について話さなくなっているのに気づく。二人の顔にはそろってぼくの安全への懸念が浮かんでいる。”(p229)
と周囲の不安に、
” 実を言うと、ぼく自身も不安を感じはじめている。”(p230)
という自身の不安に、実際に路上に立てば
” かばんが濡れてきたので、フード付きレイン・ジャケットを出して着る。フードをかぶるとさらに妖しげに見えるのではないか、と気づく。ぼくの顔もわかりにくくなるだろう、と思って、早くも顔バレを期待していることに恥ずかしくなる。”(p233)
といった振り出しから、果たして旅の結末は・・ といった流れの中に読みどころが点在し、クライマックスへ。
約30年を経てのジョン・ウォーターズ
本編は全370ページ(別途:謝辞 etc)。書かれてあることは濃厚(過ぎ)ながら文章自体は翻訳本にありがちな(外国語から日本語に訳された)読みづらさは感じられず、
「訳者あとがき」で(訳者の)柳下毅一郎さんによると、
” 本書は「活字のジョン・ウォーターズ映画」である。”(p380)
と、代表作の『ピンク・フラミンゴ』『ヘアスプレー』と同じく、強烈な爪痕を残してくれる作品でありました。
なお、ジョン・ウォーターズの『ヘアスプレー』後の状況について承知していませんでしたが、「訳者あとがき」によると同作を契機に
” ボルチモアで放映されていた子供向けTVダンスショーを題材にした反人種差別ミュージカルは大ヒットし、 ・・中略・・
ウォーターズもいわば「アメリカの変わり者おじさん」的ポジションで知られるようになったのである。”(p378)
或いは
” 『シンプソンズ』から『ロウ&オーダー』まで達者にこなす俳優業も、毎年恒例のクリスマス・ショーをはじめとするスタンダップ・コメディも人気だが、今いちばん盛り上がっていることと言えばキャンプ・ジョン・ウォーターズである。
これは毎年九月、コネティカット州のキャンプ場でおこなわれるジョン・ウォーターズ主催のサマー・キャンプだ。”(p381)
といった後日談に近況を知れたことも、若かりしの頃の思い出をアップデート出来た感で、本書を手に取って良かったと実感出来たことでした。