ミュージシャン、作曲家、音楽プロデューサーなど多彩な顔を持たれ活躍されている近田春夫さんの
見事、言語化された音楽
(2019年)2月に参加した👇
安斎肇さんの『空耳人生友の会』で購入していた一冊で、内容は
” 本書は『週間文春』の連載「考えるヒット」(1997年1月1日〜2018年12月31日までの22年間)の中から、ジャニーズの楽曲をピックアップして構成したものである。”(p014)
というもので、
実際は1回につき2曲紹介されていることが多いので、ジャニーズ事務所所属以外の楽曲も多数含まれています。
読み始めて、自分が数多読んできた音楽本にはない切り口で面白味を早々に感じたものの
ジャニーズをはじめとして俎上に上げられた楽曲をほぼ知らないこと、
また、
“ファンキーとは、リズム面ではシンコーペーション、スウィング、和声ではジャズ的なテンション、そういったものの組み合わせによる音楽的なテイストである。 “(p34)
といった薀蓄に興味津々も、そういった面でのバックグランドがないことから
書いてある内容への共感が限定されてしまうことにもどかしさを感じながら・・
” アイドルとは歌うヒトではなく歌わさせるヒトなのだ。歌い手、と言わず歌わされ手、と彼らの事は呼ぶべきだ。”(p022)
というアイドル論に
” 昔からジャニーズ事務所は、衣装にそう予算を割かぬ。そのことが所属タレント達に独特な「可哀想さ感」を与えてきた。
TVを観ながら女の子達は「この人達は、売れている割には、あまりお金を貰ってはいないのではないか?」と無意識のうちにジャニっ子への同情の念を寄せるようになるのである。”(p044)
というジャニーズ論に、今まで言語化されていなかった(であろう)ことが見事文字で表現されていて興味深いです。
忖度なしの本音評
また、本筋の曲に関しても例えばSMAPの『らいおんハート』に関して
” この曲を名曲という人は多い。確かに良い曲だとは思う。しかし、本当に名曲といい切るには、何か少しあっさりしすぎているのである。
もうひとつ表情に渋みなりなんなり、異物感が欲しい。”(p062)
或いはV6の『出せない手紙』に関して
” 何よりも、久々に私は一緒に歌いたくなった。カラオケしてみたくなった。そんな気持ちにさせてくれるJポップはめったにないのだ。”(p075)
と、叱咤から賛辞に至るまで、近田春夫さんの本音が炸裂されている感じが読んでいてズバズバと突き刺さってくる著書で、後半の展開も楽しみです。