10日前に、その時点で読んだところまでを中間記としてアップロードした『40からのMBA留学:オーストラリアでビジネスを学ぶ』を読了。
中間記の段階では、先週中に本を読み終えるつもりも、今、amazonで確認すれば・・
紙の本で321ページ!という厚みから、やや長めのお付合いとなりました。
といっても、中だるみすることなく、項目(Chapter 1〜55)が細かく区切られ、次の展開へ進行していくので、読み応えといった感じのボリュームであり。
前回(中間記)以降のパートはオーストラリア色は弱まり、本題のMBA留学となり、シドニー・ビジネススクール中心の展開で、
恐らくMBA体験自体に関しては北米でも、欧州でも、大差はないのではと推量します。
学生生活を大学で終えている自分としてはMBA(経営学修士の修士課程の修了者に与えられる学位)は、名称のみ知っている程度で、その実態については、一切の知識がなかったため興味を持って読み進めました。
MBAって、どんなところ?
内容の一例を上げると、例えば・・
” レポートは、基本的には自分の意見を公表しない。中立を保って、ひたすら客観的な事実を述べることに専念するので、「 I(私は)」という言葉を使わない。
実験や調査結果の分析、既に誰かが述べたこと、提供されたアイデアなどを組み立てて実際に何が起きているのかを説明し、報告する。
「The result is shown that …」というようになるべく受動態形式で文章を書く。”(40%、百分率は電子書籍のページ数、以下同様)
といったMBA入学前に抑えておくべき基礎的なことから、講義や事前に課題として示された教材で勉強された事柄の理解に至るまで、多岐にわたり記述されています。
勉強された内容も興味深く、内部告発者の悲哀や本の最後の方で紹介(MBAの講義内容と関連性無し)されている
” 医師から心臓疾患患者に食生活習慣(運動、食事、喫煙など)を今すぐ変えなければ、まもなく死に至ると言われて、実際に食生活を変えた人は7人に1人しかいなかったそうだ。”(96%)
等、本書の本筋とは言えないにせよ、1つの本からいろんなことを学べるのは読者として有難いことです。
MBAに関するストライクな記述は、本書をお手に取ってお楽しみ下さい。*以下に、ネタバレの内容を含みます
優秀評価を勝ち取った礎
本分のMBAは、成績優秀者(「Distinction」)との評価でご卒業となり、ハッピー・エンドの展開。
試験が返却され、答案を広げてみれば、思っていたより高評価を得られたとの記述が何箇所かで見られ、記憶に残っていますが、
恐らく表側の成果は氷山の一角で、本の中で
” ほとんど毎日のように近くの図書館に通いリーディングと課題の論文をやるという毎日だった。”(73%)
と、結果を支えた努力。
要は日本語で読んだとしても難解であることが多い高等教育での教材を母国語でない言語(英語)で理解され、
科目も基礎がなく、履修されたものが複数であったと思いますが、
所定の期間で出題者の意図に沿ったアウトプットまで出来るようになり、しかもクリア(合格)まで持っていったという、
著者である唐木力さんの芯の強さが本を通じて本全体を通じて印象に残りました。
40を迎え、それまでの流れを止めた覚悟
本の後半ではキャリア論に、EQ(エモーショナル・インテリジェンス)のお話しなど、
出典が明記されてから、そこに著者の考えが示され、この部分だけでも一冊の本に成りうる内容と感じましたが、
世代が重なることもあり、「自分の場合は・・」などと感情移入しながら、MBA卒業後のパートも興味深く読了に至りました。
なお、オーストラリアに関しては、冬休み中のエアーズロック旅行記(写真付き)に、
ところどころ囲みなどで、困惑されたトピック(Trackwork)などが紹介されています。
MBAを通じて、現地(シドニー)で人の縁が広がっていったそうで、卒業証書にとどまらず、意を決してチャレンジされた報酬は大きかったようです。
一冊の本から得られる擬似経験
著者の唐木力さんは日本に帰国され、休職期間を終え、従前の職場に新たな立場で復職されたとのこと。
昨年(2015年)読んだ、教育革命実践家の藤原和博さんの『本を読む人だけが手にするもの』の中に
” 本は、著者を通して「個人的でリアルな体験」を味わうことができる手段なのである。”(p46)
を文字通り実感出来た一冊で、本書(『40からのMBA留学:オーストラリアでビジネスを学ぶ』)の冒頭に
” バスから降りる覚悟 “(9%)
という表現があり、これも印象に残るところでしたが、
人生の半ばを迎えるにあたって、一旦、「バスから降りる覚悟」を決めた著者の体験(挑戦)記、
人生の後半を迎えるに当たり、悶々とした心情を抱えていらっしゃる方などに考えるヒントをくれる一冊と思います。