(2023年)6月、ナイツ塙宣之さんミニトーク&サイン会で訪れた芳林堂書店高田馬場店で
サイン本が販売されているのを見つけ購入していた経緯。
出逢い x アホ に導かれた現在地
本書は、
” 僕は、芸人として決して「一流」とはいえません。それなのに、今でもこうして芸能界の端で、歩みを止めることなく、牛歩ながらゆっくり進んでこられているのは、奇跡以外の何物でもありません。
では、なぜこの奇跡が起き続けているのか。それは、出会ってきた人たちに恵まれていたから。縁とタイミングが奇跡的に重なり合い、出会ったみなさんに「おんぶに抱っこ」の状態でここまでやってきたわけです。
・・中略・・
かといって、誰もが気軽に「おんぶに抱っこ」してもらえるわけでもありません。
そんな中で、僕がたくさんの方々にお世話になり、生き馬の目を抜く芸能界で生き抜いてこられたのは、ひとことで言うと「アホ」だからです。”(p6-8)
と冒頭の「はじめに」での振り返りから始まる半生記。
友だち、行動力、そして憧れの人たち 〜
” 田中さんと一気に距離が縮まったのは、中学生になってから。中学1年生で同じクラスになったことで、今の人生がある程度決まったと言っても過言ではありません。
・・中略・・
仲良くなるのに大きなきっかけがあったわけではありません。心のどこかで僕も野球がうまい人としゃべりたかったんですよね。話してみたら優しいし、野球という共通の趣味もあって、なんとなく意気投合。しかも彼は当時から僕にはない独特の感性を持っていました。”(p32-33)
とココリコでコンビを組む田中直樹さんとの出会い&その後に、
” 恋愛は絶好調の一方で、就職活動は難航。ずっと野球漬けの日々でしたから、やりたい仕事がすぐに見つかるわけではありません。そんな僕に次の道を指し示してくれたのが、元木大介さんです。
彼は上宮高校に進学し、大阪代表として甲子園に出場。その甲子園でホームランを6本打つわ、春のセンバツで準優勝するわと大活躍で、アイドル的な人気を博していました。
僕も同じ地元出身として、ずっと意識していた。その元木が、ドラフトでダイエーから1位指名されたけど断るんです。なぜなら彼は巨人に入りたかったから。
そのニュースを見て、アホな僕は「だったら俺がダイエーに行こう」と就職試験を受けに行き・・・落とされた。”(p75)
と片鱗?!を感じさせられるエピソードに、
” さて、憧れてやまないダウンタウンさんの冠番組、しかも高校時代には寮を抜け出して友達の家で録画を見まくった『ガキ』の前説と聞いた僕は、単純にブルった。でも、「よっしゃー!」とワクワクする思いのほうが強かったかなぁ。結構、いろんな前説をやらせてもらっていたから、多少自信はあったんでしょうね。
しかし、すぐに鼻っ柱は折られる結果に。いざ初収録に臨んだら、それまで経験した前説とはまったく勝手が違う。ネタは一切なし、フリートークで勝負。スタッフさんからの指示も「ただウケて」のみ。
僕らは24〜25歳で、ダウンタウンさんもまた30代前半でゴリッゴリに尖っている時期。スタッフさんもゴリッゴリで、お客さんもゴリッゴリに尖っている。全員が「ダウンタウンさん以外の笑いなんて、一切認めませんよ」というスタンスの中に飛び込んでいくわけですから、地獄でしかなかった。
・・中略・・
「あの現場をクリアしてるから、どんな現場でも大丈夫でしょ」そういう大きな自信がつきました。”(p127-129)
と、これも人生の命運を決めたであろうダウンタウンとの出逢い+受けた衝撃に。その他、木梨憲武さんにタモリさん等々、遠藤章造さんの交友関係の広さ=芸能界での愛されぶりから興味深く読み進められました。
自分らしくあるための線引きと原動力
読書中に抱いた感覚、くりぃむしちゅー上田晋也さん本↓
の時を引っ張り出されましたが、充実さのもとになっているのであろうが、
” 本当に好きな人としか一緒に過ごしません。相手からどう思われているのかも気にならない。僕のことを嫌いな人は僕も嫌いになるのでなんの問題もないんです。おかげでストレスフリーな毎日を送っています。”(p191)
に、
” 野球、阪神タイガース、ゴルフ、さらにはとんねるずさん、ダウンタウンさん、タイガーウッズ・・・心にズドンと直撃したものに関しては、カルトクイズ番組に出たらたぶん、優勝できると思いますもん。
その代わり、そそられないものにはまったく興味が持てない。だから情報番組のコメンテーターの仕事が来ると、「えっ、俺でいいの?」と不安になるくらい。
ただし、背伸びをしないと決めている。”(p201-202)
といった割り切りに好きに突き動かされるパワー。
毎週末の「ガキの使いやあらへんで」に魅了された者の一人、そしてサイン本ということで縁あった一冊でしたが、とかく難しく考えがちなところ心を軽やかさにさせられるヒントを種々得られたように読めた半生記でありました〜