くりぃむしちゅー 上田晋也さんが、親元の熊本を離れ上京したあたりの頃からお笑いの道に身を投じた20代の日々を綴った『赤面 一生懸命だからこそ恥ずかしかった20代のこと』を読了。
本書は、直近10年(2021年2月 出版)に焦点を当てた
『経験 この10年くらいのこと』、そこから遡り
30代を振り返った『激変 めまぐるしく動いた30代のこと』に次ぐ第3弾.-
タイトルに偽りなしの笑撃
序盤はさら〜っと読み進めていった感じが、
” 21歳の5月、芸人活動を始めた。高校時代に芸人になろうと決めていた。ただその頃は「笑わせたいんであって、笑われるのはまっぴらゴメンだぜ」と考えていた。
じゃあどうすれば笑われないか? 偏差値の高い大学に行って、元来はインテリであることを証明すれば、笑われないのではないか、と考え、ならば早稲田に行こう、と決めた。”(p27)
と進学した早稲田大学入学直後、
” 最初に言ってみたサークルの新歓コンパ。私はかましにかました。新歓コンパの幹事や進行を務める3年生や4年生を次から次にイジりまくり、その場の笑いをかっさらっていった。
最初は「全身にギブスでもしてんの?」というくらいカタくなっていた新人たちも、同級生の私が自由に振る舞い、ガンガン笑いを取っているさまを見て、「東京最高!」という表情で、明るい大学生活を描き始めたように思われた。
2時間近く経ってそろそろお開き、一人2000円ほどの会費を徴収し始めた頃、幹事の3年生が「ちょっと来てくれる?」と私を手招きした。”(p31)
と元来人見知りを自認する上田晋也さんを待ち受けていた衝撃の展開(ループ)から俄然本文に引き込まれる力が強まり、以降
” 20代中盤の頃、とある雑誌で、私と有田がテレクラで2時間、どちらがより多く取れるかという対決の企画があった。”(p167)
なる企画で暴走し、
” 「海砂利水魚だったら会わせてあげられるよ!」”(p175)
と禁じられていたタレントパワーを繰り出し且つ番組外でアポ取りに漕ぎ着け、ウキウキで訪れた待ち合わせ場所で合流した女性に放たれたよもやのひと言等、
本を読んでいてクスクスさせられることは時折ありながら、本書はその情景が思い浮かぶような(ex.上田晋也さんだったらありそうだなぁ、といった)巧みな描写、表現から思わず声が出てしまったり、或いは思い出し笑いを誘発されたりの笑撃集 ^〜^;A
お笑い真っ向勝負
お笑いの方が出版された著書、オードリー若林正恭さん筆頭に
自身の内側に入り込んでいく=内省する力の強さを実感させられる著書多いですが、本書は「後書」で
” 年を重ねると、いろんなものが少しずつ見えてくる。何が見えてくるかというと、きっと現実が見えてくるのだろう。
そしてそれは、夢や希望とはきっと真逆のものなのだろう。だから若いうちは、現実なんて見なくていいと思う。現実が見えていないのは恥ずかしいことだ。でも、恥ずかしくて大いにけっこうじゃないか。若さとは恥ずかしいものだ。”(p261)
と、さすがの20代総括も含まれるものの、ストレートに本領のお笑いでグイグイ攻めてこられ、
まとまった手持ち無沙汰の時間がある際など、多くの方にタイトルに偽りなしの威力を発揮してくれるものと ^〜^/