先日読了した ↓
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の「訳者あとがき」で興味深い記述があったので、今回取り上げたいと思います。
著者のPhilip K. Dick:フィリップ・K・ディックについて紹介している部分。
フィリップ・K・ディックが定義する「人間」
キャリアを通じての全体は・・
” ディックがその数多い作品の中で一貫してとり上げてきている重要なテーマの一つに「現実」の探求、物質的世界の背後に隠れた真実の発見があります。”(p322)
そして、本書(『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』)から読み解けるメッセージは・・
” ディックは、感情移入を人間の最も大切な能力と考えているのです。
本書の中での共感ボックスの役割も、また、人間とアンドロイドとの鑑別に感情移入度検査が使われている理由も、これでなっとくできます。”(p323)
また、発表した短編「人間らしさ」に付したコメントでは・・
” 「・・中略・・ あなたがどんな姿をしていようと、あなたがどこの星で生まれようと、そんなことは関係ない。
問題はあなたがどれほど親切であるかだ。
この親切という特質が、わたしにとっては、われわれを岩や木切れや金属から区別しているものであり、
それはわれわれがどんな姿になろうとも、どこへ行こうとしても、どんなものになろうとも、永久に変わらない。」
ここにディックのもっとも基本的な世界認識がある。ディックにおいて、人間とアンドロイドの生物学上の、あるいは自然科学上の区別は、まったく無意味である。
親切な存在はすべからく「人間」であり、それ以外は人間ではない。
ここで彼が、この非人間的性質の比喩としてのみ、「アンドロイド」を持ち出している事を失念してはならない。
ディックは、「アンドロイド」と「人間」の形式上の区別には関心がない。コピーも原物も、親切であればすべて本物である。”(p326-327)
世の東西を問わず、問われる真髄
「人に親切にしろ」というのは、本ブログでもしばしば取り上げている斎藤一人さんのメッセージと符合するもので
斎藤一人『大宇宙エネルギー』
「おぉ〜!」となりましたが、本書の読み方も「訳者あとがき」に触れて解釈すると、
映画『ブレードランナー』を含め
更に奥深い世界に誘(いざな)われている感覚を覚え、
「フィリップ・K・ディックの他の作品も読んでみようかなぁ」と思わさせる、訳者である浅倉久志さんによる目を見開かされる一文でした。