作家 江國香織さんの二年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』刊行記念イベント
「私たちが見たアメリカと、あの日の自分」『彼女たちの場合は』刊行記念トークイベントに参加。
といっても江國香織さんの作品は手にしたことがなく、もう一人の登壇者 柴田元幸さんがお話しされる内容目当てで参加。
小説家のリアル
イベント設定条件から、トークはもっぱら柴田元幸さん或いは質疑応答で参加者が質問者となり、
江國香織さんが回答される形式で進行。対象書籍を読んでいないと分からないやり取りも結構ありましたが、
小説家の日常に迫る質問も複数上がり、例えば柴田元幸さんから『彼女たちの場合は』で
「登場人物たちが、作品の中でどの程度思い通りに振る舞ったか?」なる質問に、
江國香織さんは全く予想することなく書き進めていったので、思い通りでもその反対でもなかったようながら
もっと大胆に振る舞って良かったのかもしれないと。この辺り、人にもよるのでしょうが
必ずしも書き始める段階でエンディングまで想起されていないようで、「そういうものなのかぁ」とちょっとした発見。
また、参加者からの登場人物の名前は決まっているのか?という問いには、
まず名前(ex. この人はDaveって感じじゃないなど)があって、台詞などが落とし込まれていく順序だそうな。
結構、登場人物にご自身のキャラクターなりが(自然と)投影されていくことが多く、
その中でも『なかなか暮れない夏の夕暮れ』の稔というキャラクターは
男性ながらその傾向が色濃いとのこと。
トークは柴田元幸さん登壇イベントでは恒例の朗読(江國香織さんは柴田元幸さんの求めに応じて『彼女たちの場合は』から
柴田元幸さんは同作に匹敵するインパクトとしてSylvia Plath『Mary Ventura and the Ninth Kingdom』の最初と最後をチョイス。
文づくりは繊細なりて
その他、参加者から「家に籠って書くのか、それとも自由に外に出て書くのか?」との質いに
江國香織さんはパソコン(スマホの所持なし)はメール専用だそうで、もっぱら部屋に籠って原稿用紙に手書きされるとのこと。
機械的操作を覚えると文章が変わるような気がする(文章がてきぱきするようになる)との発言に、
柴田元幸さんが「小説は余計なものが大事」と、是非(操作を)覚えないようにとリクエストされたシーンは印象的で。
プレ江國香織さんの世界観
そんなこんな20:00開演であったことから、閉幕が告げられたのは21:35(そこからサイン会)。
圧倒的な女性比率でアウェーな感じもありながら ^^; 既述の小説家インサイドストーリー的なお話しが聞けたことは
新鮮であり満足。せっかくだからと開演前に特設売場に並べられた江國香織さんの作品の中から「どれにしよう・・」と、
1冊だけ売られていた(残っていた)ことに目に留まり手が伸びた『物語のなかとそと』を持ち帰ってきた(購入)ことから、
後日、江國香織さんの世界観に初浸りしてみようと思います ^^