野球解説者 江本孟紀さんが
” この「名将の器」に気付かなかった面々へ “
と表紙に踊るサブタイトルがほんのり刺激的な
『監督 原辰徳研究 この「名将の器」に気付かなかった面々へ』を読了。
書店に立ち寄った際、サイン本販売に遭遇し「!」と反応し、
触手が動いていた経緯。
イメージを覆す 原辰徳 > 野村克也
本書は、
” 閉塞したこの時代において、さまざまな分野でリーダーの不在が叫ばれている。野球界のリーダーに注目することは、決して野球に関してのこととしてだけでなく、リーダー像を求め、理解するうえで、大いに意義があると私は思う。”(p6)
と原辰徳監督が、プロ野球界で残してきた実績をもとに、
” 野村さんに就いて「野球界の名将だったのか?」と聞かれれば、私はそう思わない。なぜなら、「弱いチームでは弱いままだった。」”(p20)
など、主として世間一般に名将と讃えられている野村克也さんとの対比をもとに
いまだ評価されていない原辰徳監督の手腕に関して、後半では原辰徳監督との対談も交え考察されています。
上述の対比とは、例えば昨(2019年)シーズン
” 巨人の戦いを解説者席から見続けていたが、とにかく弱かった。
「ここでチャンスが途絶えてしまうんだろうな」と思ってしまう局面で、そうした負の予想を覆すことなくチャンスが途絶えることは、一度や二度でなかった。
それでも巨人は優勝することができた。「誰が見ても決して津強い」というチーム力で優勝できたのは、選手が想像以上に頑張ったこともあるが、原監督の采配によるところがもっとも大きい。これはまぎれもない事実である。
だからこそ。私はあえて声を大にして言いたい。「原辰徳が名将だからこそ、巨人は優勝できたのだ」と。
さらに付け加えたいのは、「原辰徳は、間違いない名将である」ということだ。”(p18)
と惜しみない称賛が送られています。
知られざる名将のここが凄い!の数々
その根拠を、本書ではデータでの裏付けをはじめ
事例を具体的に取り上げ、原辰徳監督と他の監督との違いについて、或いは
” 「天下を取るなら、自分にも周りにも徹底的に厳しくないといけないんだな」と考えました。”(p177)
といったご本人のグランド/現場から離れた時の学びも踏まえ、多角的な斬り込みから江本孟紀さんの主張に十分納得させられます。
原辰徳監督が名将であるという評価は、自分自身も ワールドベースボールクラシック 2009 あたりから、その立場に立っていて
2018年に読賣ジャイアンツの監督復帰が発表された際は「(対戦相手として)いゃ〜な気持ち」にさせられ、
実際、セントラルリーグの中での勢力図が書き換えられることになりましたが・・
全235ページに及ぶ本書に触れることで、巨人戦の見方を(興味深く)変えられるであろうと。