サッカー日本代表及び(ドイツ・ブンデスリーガ)VfBシュツットガルト所属遠藤航選手の『世界に勝つために「最適解」を探し続けろ』を読了。
昨年(2022年)暮れに開催されたトークイベント↓
の対象書籍として入手していた一冊。
「正解」ではなく「最適解」
本書は、
” 今回の本で重要な視点が、この「正解がない」ということにある。
「正解がない」なんていうと、「じゃあ、どうすればいいんだよ」と言われそうだけど、代わりにいつも僕が探していたのが「最適解」だった。”(p10)
と、冒頭「はじめに」で示され、その背景には
” この本は、僕の歩んだ4年半、海外でプレーをするようになってからのストーリーが中心になる。”(p11)
と活躍の場を遠藤航選手が、日本国内から海外に移し
” ただ、ひとつだけはっきり言えることは、常に「最適解」を探し続けてきたからこそいまがある、ということだ。”(p12)
との確信があってのこと。
” 本書では、僕が具体的にやってきた「最適解」の見つけ方を紹介したいと思っている。”(p12)
とさまざま決断に至ったプロセスが示されていますが、
第1章 「正解はない」をスタートにする
第2章 最適解の探し方〜疑う。
第3章 最適解を不可能をなくす。
第4章 最適解を見つける
第5章 日本サッカー論
の章立てに沿って、
“「正解を作らないこと」。
ここをスタートにすることが、大きな成長のチャンスになると実感しています。”(p30)
との立脚点から
” 監督が決め、選手が従う。
そういう「正解」みたいなものを、森保監督は疑い、「世界との差がある」からこそ、選手の考え方を引き出してチームを高める。”(p42)
と先のFIFAワールドカップカタール2022で日本国内を熱狂させた日本代表躍進の一因の紐解きに、
” 正解がないものに対し、正解を決めるのではなく「引き出し」を増やす作業をしていきたい。それはひとりで発信するより、多くの人の意見を聞きながらできていったほうが効果的だ。”この(p94)
や
” 「不可能に思えること」にチャレンジするときに、リスクやデメリットを回避することを優先してはいけない、と思いました。”(p125)
と最適解にアプローチしていく過程に、
” 多くの人が「なりたい自分」や「できない課題」に対して悩んだり、もがいたり、ときには諦めてしまったりしていると思います。
では、それを達成できる人とできない人の差は何か。
「目の前のことにフォーカスできているかどうか」
僕はこれがすべてだと思っています。”(p155)
と得られた一つの解に、遠藤航選手が築いたキャリアの素が、250ページ弱に及んで綴られています。
キャリアを実現したアプローチ
そのキャリアとは、
” 「航、デュエル1位だよ」
そう言われたのは2020-21シーズンの途中でした。”(p115)
と遠藤航選手の代名詞ともなっているデュエルを世界屈指のブンデスリーガで突出させたことに、
” シュツットガルトはブンデスリーガが創設された1963年から1部に所属し、クラブの創設をさかのぼれば1893年と、1世紀以上にわたって存在する伝統あるクラブです。
ここ数シーズンは2部降格を経験するなど厳しい時期を過ごしていますが、3度のリーグタイトルを獲り、名選手を輩出してきました。いわばブンデスきっての強豪。
そんなクラブで日本人がキャプテンをする。”(p165)
とプレーだけにとどまらず、首脳陣やチームメイトからの信頼を得てキャプテンの座を託されるという今や海外でプレーするアスリートが珍しくない中で出色の通過点であるように思い、サッカーファンに限らずとも学びに示唆を得られる著書であるように思います。