本書を知った当初は、ポジションに特化されたかのテーマから反応しなかったものの
「サイン本出ているみたいだしな」とじんわり盛り上がり、行ってみるかと入荷してそうな店舗を訪れ、狙い通り在庫を見つけ購入していた経緯。
9年間でゴールデングラブ賞6回を誇った守備力
現役時代の赤星憲広選手というと、何より走力=盗塁王のイメージ強かったですが、
” 手前味噌になって恐縮だが、僕は「盗塁王」獲得5度より、「ゴールデングラブ賞」受賞6度のほうが多い。”(p127)
というキャリアで、しかも
” プロ9年間で6度のゴールデングラブ賞を獲ることによって2度の優勝に貢献できた。外野手の1ポジションだけで1000試合以上出場は、プロ野球史上、僕だけらしい。”(p96)
なる記録を持つと知るに至ると、数多ある野球本でもレアと感じたセンターに特化した本が出版に至った背景がよく分かります。
そのセンターのフィールディングについて
” 野村克也監督いわく「センターラインがなぜ重要か。そこに飛んだ打球にはファウルがないからだ」。
キャッチャー・ショート・セカンドに飛んだ打球でもファウルになることがあるが、センターのエリアに飛んだ打球にファウルはない。
打球が上がった瞬間、ホームラン以外、捕りにいかなくてはならない。”(p86)
というポジションの特性に、
” 捕ってから早く投げようというときに、グラブのポケット(ボールが入りやすい空間)があまり深いと投げる手に持ち替えるのに、取り出すまでに時間がかかる。だから、僕のグラブはポケットが浅めだった。
捕ってから誰よりも早く投げれば、肩が強い選手たちと勝負しても勝てる。”(p28)
という用意に心がけに、
” 甲子園で守るときはフライを「つかみ」にいってはいけない。つかみにいったらフライを落とす。待って、落ち切ってから捕る。フライを捕ってすぐボール回しをしたがる選手は、落とす危険性をはらんでいる。”(p40)
といった応用論に、守備に強い意識を持たれていたことが十二分に伝わってきました。
野球を制するもの
また、
” 正直、野球で守備力が足りなくても守れるポジションを考えたとき、それはレフトになる。”(p68)
というような言い切りも散見される歯切れの良さに
落合博満監督が中日ドラゴンズを率いた1年目の2004年に作られたセ・リーグ記録の守備率.991の話題から
” 打者が3割の分、投手は7割。その7割の九割九分をアウトにできる。「野球はやはり守備」なのだ。”(p60)
と、何にも増して守備が野球の質を高めていく上で重要であるかを明瞭に読ませられた著書でした。