野村総合研究所の柏木亮二さんが、「フィンテックって何?」という私のような初学者のために上梓された『フィンテック』を読み始めて、
ペース良く半分過ぎのところまで来たので、そこまでのおさらい。
ろくずっぽ立ち読みをせず、好奇心に駆られるように電子書籍版をダウンロードして
「内容がさっぱりだったら、どうしよ?」なんて思っていましたが、本の出だしに書かれている
” 本書は「 フィンテック(Fintech)」の基礎的な解説書です。”(位置No.2/電子書籍のページ数、以下同様)
に偽りなし(笑)
これまでのところ内容の歩留まりは悪いかもしれないながら、全体の雰囲気を損ねることなく感じ良くページをめくれています。
フィンテックに馴染むための入り口
肝心の中身は、どのようなことが書かれているかというと・・
” フィンテック(Fintech)とは、金融を意味する「ファイナンス(Finance)」と技術を意味する「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた造語です。”(No.96)
” 「フィンテック」の正式な定義は存在しませんが、ここでは金融庁のもとに設置されている、金融行政のさまざまな課題を検討する金融審議会の「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」が2015年12月に公表した報告書でのフィンテックの説明を引用してみましょう。
同報告書ではフィンテックを「主に、ITを活用した革新的な金融サービス事業を指す。
特に、近年は、海外を中心に、ITベンチャー企業が、IT技術を生かして、伝統的な銀行等が提供していない金融サービスを提供する動きが活発化している」と説明しています。”(No.104)
” フィンテックがこれほど注目を集める理由は大きく2つあると考えられます。
1つは「新しくて便利なサービスが次々と誕生しているから」というもの。もう1つの理由は「フィンテックは既存の金融機関の存続を脅かす可能性を秘めているから」というものです。”(No.104)
といった、これまでの大づかみの捉えに始まり、昨今、フィンテックが急速に開発され、支持されている背景に
” フィンテックサービスは既存の金融機関によるサービスと比べて、非常に低価格でサービスを提供している “(No.154)
多額の投資がフィンテック領域に流れ込んできている事情に・・
” 「金融は『破壊する』と儲かる領域だから」です。コンサルティング会社のマッキンゼー&カンパニーは2016年に「世界の金融機関の利益(税引き後)が2014年に初めて合計1兆ドル(約110兆円)を超えた」という調査結果を発表しました。
1兆ドルもの利益が生み出される産業がほかにあるでしょうか。トヨタの2016年3月期の利益は約2兆2,700億円でした。
金融業界全体と匹敵する利益をあげるには、トヨタがあと50社必要な計算になります。想像を絶する膨大な利益です。
この莫大な利益を狙って多くの資金がフィンテック企業に流れ込んでいるのです。”(No.373)
と、前段で業界を俯瞰出来るような丁寧な説明がなされ、中盤以降、今、どのようなサービスが開発され普及していっている状況なのか等に言及されています。
フィンテックの世界の今をさらっとナビゲート
既述の通り、殆ど予備知識のない状態で本書を手に取った次第ですが、気づかぬうちに自分が利用しているサービスであったり、
約100兆ドルに達する見込みの資産運用市場などで「こんなことも出来るようになっているのかー」といったサービスであったり、読んでみて気づくことに、初めて知ることに。
それらが深追いされることなく、さらっと簡潔に説明されているので、読みやすい仕上がり。
本書を一冊読んだだけではフィンテックへの理解が十分になる状況とは考えられませんが
興味を持てるように上手い感じにフィンテック領域に導いてくれる本で、後半の内容、細かくなっていくかもしれませんが、日進月歩で進化を遂げている現状に触れていきたいと思います。