『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』を読了。
古本屋で「何か、ないかなぁー?」状態で、手が伸びた一冊。10月から教育改革実践家の藤原和博さんの著作に触れた機会が2回。
3冊目を通じて、藤原和博さんのメッセージに対する理解を深化、統合するに良い機会であるなと、購入。
働き方で分類される4つのタイプ
本書は、今まで読んだ藤原さんの主張に沿った展開が成されており、主題は・・
” この本では「100人に1人」になるのに、十把一絡げに競争するのではなく、タイプ別オンリーワンを狙っていけるように条件を示し、レアな人になるべきノウハウと意識のあり方を細かく伝授しています。”(p230)
タイプとは・・
” Aは「力」を武器にして働く領域。(「権力(サラリーマン)志向」の社長タイプ)
Bは「技」を武器にして働く領域。(「プロ(独立)志向」の自営業タイプ)
Cは「つながり」を武器にして働く領域。(「権力(サラリーマン)志向」の公務員タイプ)
Dは「好き」を武器にして働く領域。(プロ(独立)志向の研究者タイプ)”(P228/カッコ内は巻頭の表から引用)
専門分野は、各1万時間をかけて3つ持つ
本の始めに時代背景、働き方、社会人の価値観等の言及があり、まず
” 「100人に1人」なら誰でも努力すればなれるということ。だったら、ひとつの分野ではなく、2つ、3つ、異なる分野で「100人に1人」になり、あとは分野そのものを掛け合わせればいいというのがポイントです。
20代のうちにある分野で「100人に1人」になったら、30代では別の分野で「100人に1人」になる。
そうすると、「100分の1」x「100分の1」=「1万人に1人」の希少性を獲得することができます。
さらに40代でもうひとつの分野で「100人に1人」になると、今度は「100分の1」x「100 分の1」x「100分の1」=「100万人に1人」と同じだけの超レアな人になることができるのです。
「100万人に1人」というのは、先ほども計算したようにオリンピックのメダリスト級の存在です。
同じくらい超レアな人なのに、メダリストになるよりも、3つの分野でそれぞれ「100人に1人」になるほうが、はるかに難易度は低い。
3つの分野にそれぞれ1万時間ずつ、時間と労力をかけさえすればいいのですから。”(p20-21)
この辺りは、他の藤原和博さん本の読了記でも取り上げている内容で、当初の目論見どおり復習にも繋がることでした。
この考え方を土台として以降、上記で分類されたタイプ別(A〜D)に、その中で突き抜けた存在になる道筋が示されています。
この中で、私が本書を読んでいて一番ワクワクした、「好き」を求める人の4つの条件、から掘り下げて内容を紹介します。
「好き」を原動力に100人に1人になる方法
ここに当てはまる人は・・
” 「経済以外の価値」を重視し、「プロ志向」のある、いわば「研究者タイプ」の人です。
組織に属しているか否かを問わず、自分の趣味や興味の世界を追いつづけることを目標としています。一言で言えば、「好き」を求める人。
「好き」を何よりも優先するため、非正規社員やフリーターの道を進み、生活が困窮するリスクもあります。
しかし、たとえ貧乏でも、自分の好きなことだけをして食べていきたいと考えるタイプの人たちでもあるのです。”(p195)
そして、この領域(D領域)で1%の人になるための条件は下記の4つ・・
・一生を捧げてもいいと思えるほど好きなものがあるか、ないか(「自分以上に、それに詳しいヤツはどこにもいない」「一生、やりつづけても飽きない」「それさえあれば、ほかのものは何もいらない」)
・結婚するか、しないか(➡︎経済的基盤は結婚相手に助けてもらえ!)
・家賃があるか、ないか(➡︎固定費を下げるため、家やマンションは絶対買うな!)
・あなたのファンをつくれるか、つくれないか(➡︎誰からも評価されずに死んでいくとしても、「好き」を貫く覚悟はあるか)
この前提(p196〜217)を受けて、まず
” D領域を一生突き進んでいくには、相当な角度が必要です。
たとえば、ゴッホは37歳で亡くなっていますが、生前に売れた絵はたった1枚。
誰も評価していない中で弟のテオだけがゴッホの才能を信じ、ゴッホの生活の援助をしつづけました。
いまやゴッホの絵は何十億円もの値がつきますが、当の本人は孤独と失意の中で死んでいったのです。
ゴッホのように、D領域をめざす人は死ぬまで世間に認められず、稼げない可能性もあります。不遇なまま人生を終えてしまうかもしれません。”(p216〜217)
と覚悟を問い、更に・・
” D領域をめざす人の人生を好転させるきっかけは、ファンがつくかどうかです。
自分が好きなものに対する圧倒的な知識、その世界観、それを追求する自分の姿にほれ込むファンが大勢できれば、スターになれる可能性だってあり得ます。
・・中略・・
何も世界的な大スターにならなくても、「ある領域のカリスマ」になれればいいのです。
そして、いまは一部の人だけが熱狂するカリスマが誕生しやすい時代でもあります。
なぜなら、ゴッホの時代と大きく違って、インターネットがあるからです。
自分の「好き」を極めて、それをネット上で発信すれば、世界のどこかで誰かが自分に目を留めてくれる可能性が開かれています。
自分が暖めているオタクの世界観をジワジワと広めていけば、やがて突如、脚光を浴びることもあるわけです。
・・中略・・
ひとりで自分の世界に閉じこもっていては、ファンをつくれません。D領域の人は、外に向かってどんどん発信していきましょう。
・・中略・・
専門家が評価しなくても、大衆が評価して人気に火がつく可能性だってあります。
ネットの向こう側では、いつも世界中の人々が、すごいオタクを待っているのです。”(p218-219)
章の最後、まとめで
“D領域で「100人の1人」の1%の人になるには、堂々とオタク道を邁進していく覚悟が必要です。
価値観の変遷とインターネットの登場によって、ついにオタクの時代がやってきたのです。
自分の「好き」なことを自分ひとりだけで楽しんでいてはもったいない。世界に発信すれば、誰かが目に留めるかもしれません。
ほかの人を楽しませようと意識しながら「好き」を極めることが大切です。”(p220)
「好き」を極め、突き進んでいく人たち
といった具合。本では更に詳しい説明に、他のタイプでも同程度の分量で、各領域で上位1%になるための方法が綴られています。
私自身は、上記で抜き出したD領域の中に生息している人種であろうと(笑)
その上位1%へは道半ばながら、興味、関心のある分野を掛け合わせてブログで独自の世界観を創出したいと考えていますし、
インターネットを通じて、インターネットだから共通の趣味を持つ人たちと、既に多くの出逢いに恵まれてきました。
それまで自分が何となく「ぼや〜っ」と言語化出来ない状態で頭の中に描いていたことであったり、
こういうタイプの人たちが世の中に一定数存在して、社会の中で存在感を得るクラスターであることを知らされたり、
自分がワクワクを感じた要因は、そのようなことであったろうと振り返るところです。
藤原和博さん本らしく、ご経験も踏まえた明瞭なプロセスと共に読者に前へ進む力を与えてくれる一冊でありました。