教育改革実践家の肩書きで講演等でご活躍中の藤原和博さんの最新刊『藤原先生、これからの働き方について教えてください。』を読了。
年末までに本編(〜LECTURE 4-7)を読み終えていて、新年一般参賀で皇居へ向かう電車内で「あとがき(LAST LECTURE)」の読了に至ったもの。
本については12月に参加した藤原和博さんの講演会の中で
「12月26日に出るから」と内容と共に紹介されており、刊行を楽しみにしていたもの。
私個人では藤原和博さんの講演を3回拝聴しており、本書の内容は講演をお聴きになられているた方々にとっては馴染みのある内容であるかもしれません。
経験に基づく100万人に1人になるための実践の書
本書で書かれている要旨は、日本が成熟社会に突入して、それまでの共通した正解が求められた時代から、一人一人が答えを見つけ出していく時代(社会)に移行した中で
如何に自分の希少性を創出し、天才でなくとも社会の中で引く手数多の存在になれるかという藤原和博さんのご経験に基づいた方法論。
本の導入部では、まず社会人経験の中で自己の軸足(専門性)を確立して、そこから水平移動(親和性がある)して更なる軸を確立して、自分の希少性を戦略的に築いていくというもの。
本では、
” 人は何かをマスターするのに1万時間かかるということ。逆に、1万時間頑張れば、誰だって、今は全くできないことをマスターできるのです。”(p30)
として、特にこれから社会人としてキャリアを築こうという方には、戦略的なガイドラインが示されているので一読の価値があると思います。
既にキャリア中盤(以降)に差し掛かられている方は、今までのご自身の棚卸しに活用出来る内容と言えるでしょう。
正解主義から修正主義への大転換
この前段を受けて本の内容は・・
藤原和博さんが本書で「今、産業界が求める人材とは」・・
“
-
自分自身の仮説として、いくつかの選択肢を見つけられる人
-
選択肢のどれかを試行錯誤でやってみる人
-
やってみた結果を見て、選択肢を修正していける人 “(p62)
と明示して、まず、このような人材となるためのマインドセットであったり、例題が提示される中で、
読者の頭(考え方)の切り替えを問うて、多くの日本人が何となく気付いているのだけれども
言葉で上手く説明出来ないであろう、今、日本が直面している時代に対する藤原和博さんが導き出した解が示されています。
藤原和博さんが説く挑戦する人生
本書を通じて私自身は、それまでの講演が耳から脳に送り込まれた情報が、改めて目から脳に送信される形となり、
講演の復習や理解がより深まった感覚を得られました。
今一度、特に印象的であったのは、二つの自分の軸足を確立(三角形で言うところの底辺)した上で、
(三角形の)頂点は下記の通り、可能な限り高く設定して(三角形の)面積を広げる挑戦を勧められていること。
” 三角形のてっぺんは(頂点)は、できるだけ遠く、思い切って、それまでの本業とかけ離れたものに挑戦するのがお勧めです。
もちろん、持ち玉で勝負しないわけですから、正直言って怖いです。でも、その勇気、というより無謀さが、あとから効いてくるのです。”(p32)
これは藤原和博さんの場合、ご自身のリクルートでのキャリアを公立学校長(杉並区立和田中学)でチャレンジされたご経験と重なります。
講演時のお話しでは、その挑戦が無謀であればあるほど周囲が支えてくれる、応援されると言った力が働くことになるそうな。
本の帯に書かれている
” 10年後、今と同じ働き方では生き残れないかもしれないことが、不安でしかたがないあなたへ。”
とは、多くの人が抱いているであろう将来に対する心情の代表例であろうと思いますが、
それに対する一つの明確な生き方(解)を示してくれるパワフルな手引書である思います。