東京ヤクルトスワローズで選手及び監督として活躍された古田敦也さんの新刊『うまくいかないときの心理術』の
第3章まであるうちの「第1章 自分の壁を破る」(ページ数は、本全体の半分程度)を読み終えたので、そこまでのおさらい。
本書は先月(5月)末に開催された古田敦也さん登壇イベント(下掲)の対象書籍として入手したもので、
当初はプロ野球経験を一般向けのビジネスに当てはめた感じの内容かと捉え、序盤はスロースタートでしたが・・
徐々に古田敦也さんならではのインサイドワークを駆使した事例が紹介されていき、読み進めるうち、その展開が楽しくなってきました。
事前情報収集のススメ
本書で紹介されているエピソードの一端を紹介すると、例えば情報入手に関して読書を勧めておられ
” ドラフトでヤクルトの入団が決まって僕が最初にしたことは、ヤクルトの監督になることが決まっていた野村克也さんの本を本屋にあった分だけ買い込んだことです。
・・中略・・
その中の一つに面白い言葉がありました。曰く、「足の速いキャッチャーは大成しない」というのです。
・・中略・・
年が明けていざキャンプが始まってみると、僕以外にライバルとなりそうなキャッチャーは二人いました。
一人はレギュラーの秦真司さん、もう一人は若手の成長株、飯田哲也です。
僕は野村監督の本を読んでいたので、なんとなくこの時からこの二人はいずれコンバートされるのではないか?と予感していました。
というのも秦さんは僕より足が速いのです。飯田に至ってはチーム一、二を争う俊足です。僕はというとプロでは並の走力です。
案の定、のちに二人とも外野にコンバートされました。
・・中略・・
本を読んでいたおかげで、初めてのキャンプを安心して過ごすことができました。”(p76-77)
次元は違いますが、情報発信の時代と言われる中、個人で情報発信している人は多いものの
「いざ、(情報発信していると知っている人)会おうか」となった際に、その人の発信している内容を軽く閲覧しておき、会った時にその中の話しから始めるのか、
会った時点、手ぶらで「最近どう?」という感じで始めるのは、大きな違いがあるように思い、実際、前者のタイプはかなり少数である印象。
要は、リサーチ習慣のある人とない人とでは、得られる展開の幅に大きな違いがあるように実感しており、
古田敦也さんの場合、それ(リサーチ)が日常的なルーティンに組み込まれており、スタート時点で他の人より優位に立てていることが多いのではと本エピソードから推量しました。
相手心理を逆手に取る
他では、心理の駆け引きに関する件(くだり)で
” 打率という数値は、とにかくヒットを打たないことには上がってくれません。つまり当たり前ですが、四球を選んでも上がらないのです。
そのため「どうにかして打たなきゃいけない」という焦りが生じてくるのです。
・・中略・・
開幕からどうも乗り切れないでいる選手というものは打率が上がらず、とにかく早く打ちたいという心理が強く働くものです。
こういう打ちたがっている選手に対して、甘いところへストライクを投げる必要はありません。
少々のボール球でも手を出してくれる可能性が高いのです。さらに、打率を上げたいので四球で塁に出るという意識も薄い。
そういう選手をどんどん追い詰めていくのがキャッチャーの仕事です。”(p52)
本では更に、古田敦也さんがご自身が調子の上がらない時の対処法についても触れられていて、それ(考え方)が奏功したため、
” 僕自身(註:古田敦也さん)は現役時代、どん底のスランプにはまるということはあまりありませんでした。”(p50)
と、現役時代を振り返られており、考え方の重要性に力説されています。
一手先を読む心がけから、超一流の域に
トークショーの際は、ご自身でのプロ野球で残した実績に自信を持ってお話しされている姿が印象的で、
その感想は一緒に行っていた友人も同様で、会場にいらした方の多くが感じられたことではないかと思いますが、
野村克也元監督がよくおっしゃられていることではありますが、考えることなく才能だけで野球をやろうとしている選手が多い中、
古田敦也さんは野村克也監督に出会う前から、しっかり考えた上で行動される事が多く、
本を半分読んだところですが、その辺のスマートさがよく伝わってきます。
本全体で(全3章)44項目収録されており、残りは23項目。読了後に興味深かったエピソードを再びシェアしようと思います。