古舘伊知郎さんの著書『言葉は凝縮するほど、強くなる』を読了。
先週参加した本書刊行記念 講演&サイン会で入手していたもの。
長話しが嫌われるご時世に、破壊力発揮する凝縮ワード
講演で出た話題と重複が散見され、復習的な意味合いも感じられましたが、
” 視聴者により分かりやすく、より面白く伝える言葉はないか、考え続けた40年超でした。
若かりし頃は、山手線に乗って何周もして、流れる風景を眺めながら脳内実況中継をしてトレーニングしました。
窓の外にある住宅街や新緑、道ゆく人などについてどんな言葉をチョイスしたら一番響くのか、伝わるのかいつも考えていました。
言葉を煮詰め続けた僕だからこそ、本書の「凝縮ワード」は、読者の会話の中でもすぐに使えるものになったのではないかと思います。”(p14-15)
と、「はじめに」で本のタイトルに掲げられた凝縮ワードについて説明があり、
本編では
CHAPTER 01 ぐっと相手をひきつける
CHAPTER 02 とっさに上手に切り返す
CHAPTER 03 言いにくいことをスルッと伝える
CHAPTER 04 会話が不思議と盛り上がる
CHAPTER 05 気持ちにそっと寄り添う
と5章の中に、計22のケース別に適切な古舘流凝縮ワードが用例などを交え紹介されています。
ケーススタディから感じる凝縮ワード
例えば、
CHAPTER01 /CASE3(オブラート力)
” たとえば、泣いている人に声をかけるとき、「泣いちゃいなよ」と言うのも悪くないですが、
ただでさえ相手は不安定なので、もう少しオブラートに包んで、
「涙は心のメイク落としだからね」
と言うのはどうでしょう。
誰しも、心は厚化粧をしています。厚化粧をした上で様々な人と関わって、日々、私という自分を演じています。
すっぴんで本音のままぶつかったら無防備で怖過ぎますからね。その厚化粧がはがれるのは、泣きたいとき。
でも、「涙は心の厚化粧を落とすからね」とそのまま言ってしまうと重苦しい感じが助長されますが、
「波は心のメイク落としだからね」と言えば、まったく同じことを言っているのに、なぜかマイルドな印象を与えます。”(p42)
という具合。
アクセント x 外しの美学
22の中からお気に入りを選ぶと、
CHAPTER 01/CASE 01(すり抜け力)
“「控えめに言って」は、決して悪者ではありません。使い方によっては、最高に相手に響くからです。
たとえば、つき合っている人に、「控えめに言って、好きです」と言われたら、かなりグッときませんか。
このとき、より相手に響くコツは、言い方に強弱をつけることです。
普通なら、一番強調したいのは「好きです」なので、「好き」を強めに言おうと思いますよね?
でも、ここは、「外しの美学」を使います。
「控えめに言って」の方にアクセントを置いて、「好きです」は、あえて小さめに言ってみてください。”(p31-32)
と解説は更に続きますが、古舘伊知郎だからこその印象に残るフレーズの数々に、なるほどと思わされる裏付けに、
実況の達人の試行錯誤から編み出された凝縮ワード。日常で使う場面までは落とし込めていませんが(笑)
場面にハマれば、従来より双方に奥行きあるコミュニケーションになるであろうと、
通読というよりは手が伸びるところに置いておいて、会話のヒント、ブレイクスルーの武器に使いたい一冊です ^^