第70代横綱 日馬富士公平さんが、自身の半生を振り返った『全身全霊 第70代横綱、18年間のけじめ』を読了。
Twitterでサイン本販売情報を知り、
翌日、買い求めていた経緯。
相撲との出逢い、発奮させた周囲の言葉
帯には「入門から引退までの全てを語る!」とありますが、実際は来日前のモンゴル時代から綴られていて
敬愛するお父様から
“「また柔道留学生募集の大会があるらしい。主催者から参加しないかとの誘いの連絡があったが、もう一回参加してみるか?」”(p30)
との誘いに応じて会場に出向けば
実は日本相撲の選抜大会で、会場を訪れていた当時の安治川親方(現伊勢ヶ濱親方 元横綱旭富士)に才能を見出され、相撲界の門を叩くことに。
そこから猛稽古を重ねるも、身体の小ささから周囲から
” ダワーさん(註:モンゴル人カメラマン)に、「私は幕内で三役になれるだろうか」と聞いてみました。
ところが彼は、「相撲経験がないから分からないけれど、このままではせいぜい平幕まででしょうね」と言いました。”(p71)
或いは、
” 寿司幸銀座店の大将の杉山さんと親方と一緒にステーキを食べいに行った時のこと。
杉山さんが、「安馬!こんな細い体でよくここまで務めているよ。よく頑張ったな。
でも、今の地位で終わるんじゃないの」と言ってきました。”(p72)
といった周囲の見方を覆す形で、見事、横綱まで上り詰めた軌跡、その裏側に言及されています。
才能を開花させた謙虚さとひたむきさ
日馬富士さんと言えば、暴行事件が引き金となっての引退劇も記憶に色濃いですが、
その部分、p132〜 で説明されていて、同情すべき事情も汲み取れました。
現役時、モンゴル出身の横綱の中では、強い時と脆い時の二面性を感じていましたが、
言葉も文化も知らない日本に飛び込んで、力士としては(軽量)身体的ハンデを跳ね除けての
叩き出した数々の偉業(横綱、5回の幕内優勝)の裏側には、日本に順応していった謙虚さに、強さを築いた稽古に、
何より、随所から感じ取れた日馬富士さんの人柄伝わる半生紀でありました〜