作家 畠山健二さんの『新 本所おけら長屋(一)』を読了。
(2024年)8月末に舞の海秀平さん目当てで参加した
イベント↑に畠山健二さんの登壇もあり、おけら長屋シリーズについては従前から承知しており、イベント後、今回が良いきっかけと買い求めていた経緯。
本書には
第一話 まんてん
第二話 みかえり
第三話 にたもの
の三話を収録。
シリーズの軸となるのは
” この長屋の連中を見たかい。みんな貧乏だけど、楽しそうだろ。真っ当に生きて、心を開けば、相手も心を開いてくれる。困ったときは、助けたり、助けられたり、江戸の貧乏人たちは、そうやって生きていくのさ。だから、困ったことがあったらいつでもおいで。この長屋にはね、そんな暮らしをしている人ばかりだから。”(p114)
或いは
” 「おけら長屋の住人たちにとっては、騒動こそが幸せなんでえ。何にも起こらねえなんて、張り合いがなくて、退屈で死んじまわあ。”(p130)
というおけら長屋に住まう住人たちと袖触れ合った人たちとの間で心通わされるお話し。
三話それぞれ異なる読後感を得られましたが、その中で
” 比呂は奥沼藩藩主の許されざる悪癖について語り始めた。何人もの女が手込めにされたこと。それをとがめた家臣の何人かが斬り捨てられたこと。藩主が城下で町娘に手込めにしようとして自害させ、その罪を桶井六右衛門に押しつけたこと。比呂が藩主に手込めにされているところを桶井六右衛門に助けられ、そのまま二人で出奔したことを話した。”(p290)
と理不尽な扱いで苦境に陥った武士と、似たような過去を持つ武士とで当初斬り合う命運から物語が展開していく 第三話 にたもの に最も惹き込まれ、本所おけら長屋シリーズに舞の海周平さんをはじめ多くのファンがついていることがよく理解出来ました ^^
帯裏面に目をやると、次作(『新 本所おけら長屋(二)』)が12月発売予定とあり、自ずと続編への期待を抱かされました。