歴史学者 Yuval Noah Harari:ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来(下)』を読了.-
下巻を読み始めてから
数日前に一旦整理した状況☝️から
読み進めたのは 第3部 ホモ・サピエンスによる制御が不能になる になりますが、
これまでの苦戦が大幅に解消され、
” 二一世紀には、私たちは新しい巨大な非労働者階級の誕生を目の当たりにするかもしれない。
経済的価値や政治的価値、さらには芸術的価値さえ持たない人々、社会の繁栄と力と華々しさに何の貢献もしない人々だ。
この「無用者階級」は失業しているだけではない。雇用不能なのだ。
・・中略・・
人間がアルゴリズムよりもうまくこなせる新しい仕事を生み出すというのが、重大な課題なのだ。”(位置 No.2415/2435)
” 私のことを私以上に知っていて、私よりも犯すミスの数が少ないアルゴリズムがあれば十分だ。
そういうアルゴリズムがあれば、それを信頼して、自分の決定や人生の選択のしだいに多くを委ねるのも理に適っている。”(位置 No.2508)
といった
Yuval Noad Harari:ユヴァル・ノア・ハラリが示す蓋然性の高い近未来に言及した件(くだり)が多く、本書に興味を持った時点で期待していた内容で読み応えありました。
テクノロジーが加速する近未来と、その一方
紙の本では567ページに及ぶ分かり良いまとめは、巻末の「訳者あとがき」で柴田裕之さんが端的にまとめておられ、
こちらでは別途、私的に印象的であった部分を抜粋すると・・
” 数十年のうちに脳科学のおかげで私たちは多くの内なる声を簡単かつ正確に制御できるようになる。”(位置 No.3225)
” ジレンマに直面したら、ただ自分自身に耳を傾け、内なる声に従おう “(位置 No.3740)
” あなたの感情は、無数の先祖の声だ。その先祖のそれぞれが、容赦のない環境でなんとか生き延び、子供を残した。”(位置 No.3755)
と、テクノロジーの進化で我々が住まう世界、未来像は急速に変化している一方で、
自分自身と繋がる力、内なる声に関する記述が散見される点。
それでも不確実なる先行き
なお、ユヴァル・ノア・ハラリは近未来の姿を示す一方で、
” 私たちには未来を予測することはできない。なぜならテクノロジーは決定論的ではないからだ。
・・中略・・
本書で概説した筋書きはみな、予言ではなく可能性として捉えるべきだ。”(位置 No.3842)
と断じており、膨大な人類史の積み重ねに基づいた一つの仮説に過ぎないということ。この点の理解も、大事でしょう。
『サピエンス全史』から
1,000ページ超の壮大なユヴァル・ノア・ハラリに導かれるストーリーでしたが、
広範に及ぶ専門性から導かれた近未来はリアリティに説得力を伴ったもので、他書でもそうは得られぬ軽く衝撃を受ける読書体験となりました。
特に、今回読んだ 第3部 ホモ・サピエンスによる制御が不能になる は、再読により理解度を深めたく思っています。