断続的に約10日に及んで読み進めていた
作家 百田尚樹さんの『地上最強の男 世界ベビー級チャンピオン列伝』の全506ページを先ほど読了。
本書の真打ちとでも云うべき、キャシアス・クレイ/モハメド・アリは
” ヨハンソンを弄んだ黒人青年の名前はキャシアス・クレイ、後のモハメド・アリで、十九歳になったばかりだった。”(p371)
371ページ、第19章(冒頭)にして登場。
モハメド・アリという衝撃
当初はNOI(ネーション・オブ・イスラム)、マルコムX等との関係から世間から距離を置かれながらも、
帯びたスター性に、仕掛けた過激な舌戦に、試合を重ねるごとに見せつけた実力に、
次第に、モハメド・アリ中心にボクシング界が動いていくことに。また、入隊拒否の問題からリング外にも影響力が波紋・・
” 彼は家族を養うために金を稼ぐ必要があった。世界チャンピオンでなくなったアリにとって、主な収入源は大学での講演だった。”(p440)
と、本書で初めて知った不遇時代のエピソードなどを乗り越え、フィリピンはマニラで、因縁のライバル ジョー・フレージャーを死闘の末に下すところまでのストーリーに熱く惹きつけられました。
ヘビー級チャンピオンが突き動かした歴史
終章 で、百田尚樹さんは
” モハメド・アリ以前の世界ヘビー級チャンピオンの中に、アメリカ社会を変えるほどの力を持った偉大な二人の男がいた。
一人は黒人初の世界チャンピオンとなったジャック・ジョンソンである。 ・・中略・・
もう一人は黒人として二人目の世界ヘビー級チャンピオンとなったジョー・ルイスである。”(p407)
と記し、歴代の世界ヘビー級チャンピオンの中でも特に3名を別格視し、発揮した影響力に言及。
” 筆者は敢えて断言する。この三人のチャンピオンこそが、アメリカにおける黒人の地位を変える存在であった、と。
スポーツの一ジャンルに過ぎないボクシングのチャンピオンが、アメリカ社会を動かしたのだ。それは彼らが「地上最強の男」であったからだと、筆者は思う。”(p498)
と、本書が書き上げられた背景が読み取れます。
モハメド・アリが築き、遺したもの
最後半にはマイク・タイソンやキューバ国籍ゆえモハメド・アリ等と拳を交えることのなかったオリンピックで3度の金メダルを獲得したテオフィロ・ステベンソンについても触れられています。
一続きの話しとして、わや〜っと頭にあったボクシング ヘビー級の歴史を時系列で大掴みすることが出来たことに加え、
私は完成直後の東京ドームにトニー・タッブス戦を観戦に行った経験から、自身をマイク・タイソン世代に捉えていますが、
同試合後、滞在先のホテルでサインを貰う機会に恵まれたモハメド・アリの伝説たる由縁についてもしっかり学ぶことが出来、500ページ超の厚みが、読後、読み応えとして実感することが出来ました。