百田尚樹さんの『百田尚樹の日本国憲法』を読了。
本書は、
第一章 日本国憲法はおかしい
第二章 第九条に殺される
第三章 この国はどうやって守られてきたか
第四章 日本における「天皇」の存在
第五章 憲法誕生時にしかけられた罠
終章 今こそ憲法改正を!
との章立てに沿って、第一章で
” 独立国家のための憲法ではないと感じる理由の一つは、緊急事態を想定した条文がないことです。
国民の命を脅かすような有事(他国の侵略や大災害)が起こった際は、通常の法律では対処できません。
また、時間的にとても間に合わないことがよくあります。こんな時、政府は超法規的な措置によって果断に対処する必要があります。”(p25)
第二章で
” 九条教の信者のよくある主張に、「今の国際社会でもし日本が他国に攻め込まれたら、世界が黙っていない」があります。
しかし、ウクライナがクリミア半島を奪られた時、世界はどうだったか思い起こしてください。
世界はロシアを非難しても、実効的な行動、すなわち軍事行動は起こしませんでした。
中国はチベット、東トルキスタン、南モンゴルを侵略しています。歴史的に見て、これらの国々が中国の土地だったことはないのに、世界は今ままで放置してきました。
そうなのです。世界は誰も他の国の人たちなど助けてくれないのです。自分の国は自分で守らなくてはならないのです。”(p78-79)
また第四章で
” 栄誉礼と軍隊(日本では自衛隊)が国歌を演奏したりする儀礼ですが、天皇は客人と共に栄誉礼を受けることはされません。
海外の歓迎行事では、相手国の元首と共に栄誉礼を受けられますが、国内ではされないのです。
二〇一九年五月にドナルド・トランプ大統領を迎えた時も、今上天皇はすこし離れた場所から栄誉礼の模様を見ておられました。これはなぜでしょうか。
私が思うに、国家元首の規定が曖昧であるために自制されているのではないでしょうか。こんな国は、世界で日本だけです。
他国の元首が栄誉礼を受けるなか、すこし離れた場所でお立ちになっている天皇の姿を見るたびに、私の胸は痛みます。
これは憲法の問題というより、私たち国民の意識の問題です。すべての国民が今一度、天皇や皇室の存在についてきちんと考えるべきではないでしょうか。”(p153)
等々、日本国憲法の問題点を取り上げ、第三章で先人たちが日本を守ってきた歴史を踏まえ、昨今の東アジア情勢を鑑み、
” 憲法を改正しなければ、本当にこの国が危ない。”(p201)
との主張=本書が上梓された経緯につながっています。
感じさせられる危機と、その備えと
タイトルに目をやると、堅く、学術的な印象も受けますが、実際、示された内容は重くありながらも、
書かれている文章は、百田尚樹さんらしく主張が史実などに沿って明瞭に書かれており、快調なペースで読了に至りました。
最も効果的と感じられたのは
” NATOの条約というのはすごいもので、ある国がNATO加盟国を攻撃した場合、他のNATO加盟国は、その攻撃を自国に向けてなされたものと見なします。
・・中略・・
これでは、どんな強国でも、簡単には手出しできません。つまり、NATOとは最強の戦争抑止力なのです。”(p55-56)
との枠組みで、百田尚樹さんの
” この軍事同盟に、もし日本が加盟できたなら、どんなに素晴らしいことでしょう。”(p56)
の見解に沿ったものですが、
現行の体制、憲法に準じた手続きを踏襲すると「本書で示されている危機(意識)は拭えないだろうなぁ」と、、