『ビジネスモデルの教科書』を読了。
>> 今枝昌宏さんがビジネスモデルを網羅的に紹介してくれる1冊:『ビジネスモデルの教科書』中間記 <<
代表的なビジネスモデルだけでも31に及ぶ
後半の目次立ては・・
#15 敵の収益源の破壊
#16 チャネル関係性の利用
#17 ダイレクト
#18 サプライチェーン種別の変更
#19 機能外販
#20 リソース先制
#21 マクドナルド化
#22 提携先のレバレッジ
#23 強者連合
#24 資源再配分の加速
#25 同業との統合
#26 周辺産業との統合
#27 ブランド買収・再生
#28 川下への進出
#29 川上統合によるブラックボックス化
#30 中立性・専属性のマネジメント
#31 レバレッジバイアウト
最後の「レバレッジバイアウト」は、世間を賑わせたライブドアがニッポン放送に仕掛けようとした買収劇に登場したオプションで
「あれかー」って感じ、こういう事案になると本を読む感じが前のめりになりますね。
因みに、ソフトバンクがボーダフォンを買収した時に使われた手法で、機能した好例として紹介されています。
マクドナルド化、って何だろ?
面白かったのは、やはり身近のところからの引用で「マクドナルド化」(69% : 百分率は紙の本で言うところのページ数に相当/以下同様)。
マクドナルドの他、天丼てんや、ブックオフ、ガリバーインターナショナルで用いられており、定義は・・
” 提供価値をプロセス化あるいは機械化し、リソース単価を切り下げて低価格化することで下層の市場を狙う” (69%)
説明で・・
” マクドナル化とは、主にサービス業において提供価値の種類の絞り込み、均質化した上で価値提供プロセスをマニュアルなどによって定義し、
価値提供過程にプロフェッショナルを不用とすることによって要因単価を下げ、かつ提供価値のバラつきをなくして、従来のプロフェッショナルによるのと同等なサービスを安価かつ大量に販売して利益を上げるビジネスモデルです。”
浸透している業界は、様々な飲食業態のほか、航空旅客運送におけるLCC(ローコストキャリア)や中古車買取サービスなど。
市場戦略は・・
” マクドナルド化によるコストダウンにより、サービスを安価で販売できるようになり、通常利益率も抑えて販売するため低価格の販売となります。
マクドナルド化では、いままでプロフェッショナルを用いて行なっていた事業の市場の下側の潜在市場を狙うことになりますが、
通常、市場は下方に向かって加速度的に大きくなっているため、低価格化により大きな販売量を見込めます。
このため、低粗利でも売上が大きくなるので、最終的には大きな利益を上げることが可能なのです。
中間層の崩壊により顧客の二層化が進む今後は、これは特に注目すべき市場の特徴と言えます。” (70%)
” マクドナルドやワタミなどサービス業として大企業となり得ているのは、、利益率が低くてもマクドナルド化により下側の大きな市場を狙った企業であることに注意していただきたいと思います。” (72%)
一時、隆盛を極めた感のマクドナルドも昨今は苦境に長く直面して抜け出せないので、舞台裏を知って、如何に脱却を図っていくのか、本書の他の項目を参照するなど応用的な読み方も出来ますね。
ビジネスモデルの切り口
以上のような記載が、戦略毎に
■概要と例
■価値創造過程
■なぜ優位性を維持出来るのか?
■有効に機能する条件
■落とし穴
■類似のビジネスモデル
■このビジネスモデルから学ぶ戦略思考
と、多面的に解説されています。
約600ページに及び読み応えで、最後、ビジネスモデルについて網羅した感覚を抱きますが、巻末にある「おわりに」では・・
” 本書では代表的な成功パターンをご紹介してきたつもりですが、「他にもこんなパターンがある」「こんな面白いビジネスモデルがある」という情報がありましたら、是非筆者にご連絡ください。” (98%)
とあり(笑)その奥深さ、時間の経過と共にモデルが進化している側面もあると思いますが、あくまでも本書は入り口に過ぎないと。
本のタイトルにもあるように、ビジネスモデルの教科書としての使い方が出来るのと、
何となく頭で分かっている事を、その背景にまで踏み込んで言語化してスッキリさせてくれる、
この二つの大きな役割に、本書の価値を感じました。