今井孝さんの『起業1年目の教科書』を読了。
著者名を見て馴染みのない方もいらっしゃると思いますが、今井さんは大手IT企業に勤務された後、起業。
ご自身の起業時の思惑の違いから軌道に乗るまで、また、起業家としての地位を確立された後、
同じ立場の方々、多数の起業志望者などから相談を受けられたご経験を踏まえ、今回の出版に至った模様。
と、かなりざっくりにつき、詳しくはコチラ。
私は今井さんとは直接的な交流はないながら、昨年のアンソニー・ロビンズが登壇したセミナーズフェスタに共に参加していたご縁から
Facebookのニュースフィードに、上梓された新刊の話題 → 評判がすこぶる良い → 立ち読みの感じ良し、という流れから購入。
「起業」に関する世間の誤った認識を質した一冊
読み終えての感想は本のタイトルによく表現されていて、「起業」と聞いて、世間一般がイメージするイメージを払拭し、
実際のところを分かりやすく、具体的に記されているもの。
その代表的な事が、
” 「起業とはハードルの高い大きなチャレンジだ」という勘違いです。” (p7)
というもの。今井さんが、様々な起業家、或いは起業志望者と触れ合う中で、肌感覚として持たれている事は・・
” 私が知る限りでは、うまくいっている人も、意志が弱くて、苦手なことがたくさんあって、人見知りもします。
体が強いわけでもありません。お金も最初はゼロです。要は「普通の人」です。普通の人が、結果を出しているのです。
ただ一つ、大きく違うところがあります。それは・・・・・・
成功している人は
大きな目標に到達するための細かな階段を作っている
ということです。
最初の一歩目はとても小さいのです。段差がほとんどありません。
大きく投資しなくても、スキルがなくても人脈がなくても、一回で成功しなくても、今できる小さな一歩を気軽に登ります。
そして、無理せず一歩ずつ登って行き、最後に目標を達成するわけです。” (p10-11)
という事。要は世間一般に「起業=大それた事を成す」といった思い込みがあり、
例えばソフトバンクの孫正義さんや楽天の三木谷浩史さんのイメージが最たる例になってくるものと思いますが
世の中に、まことしやかに浸透している起業に関する誤解を解いて、起業の等身大の姿
成功している起業家の実情を平易に分かりやすく紹介しているのが、本書だと思います。
起業のマインドセットを分かりやすく
本の要約は冒頭の引用で紹介出来ていると思いますが、以下で印象的であった点を取り上げていくと・・
” ビジネスで成功するにはアイデアも大事なのですが、もっと大事なのは「行動し始めること」です。
多くの場合、ありきたりのアイデアでビジネスは十分成功します。” (p32)
” 最初からやり方を知っていて、何かを成し遂げた人はいません。 ・・中略・・
「必ず成功する一歩」を探し始めたら踏み出せなくなるので、結果を期待せずにいろいろやりましょう。” (p36)
” ビジネスに「正解」はありませんが、とにかく何か一歩を踏み出すというのが「正解」です。” (p37)
” 起業家の成功要因の一番は、「市場」ではなく「自分」の熱意です。 ・・中略・・
実は、喜んでくれる人がいる限り、なんでもビジネスになります。” (p52-53)
” 起業の計画を立てるときに、知っておくべきことがあります。
人は本質的には、お金を求めているのではなく、「安心感」を欲しているのだということです。” (p108)
” ビジネスは究極的には商品を売っているのではありません。あなたの「世界観」を売っているのです。 ・・中略・・
世界観に共有してくれるお客様とつながることが一番の資産なのです。” (p183-184)
という根源的な事であったり、起業当初は売上が思ったように行かず、不安を直視させられる側面も強いと思いますが、
そういった状況に対しては
” 支出だけのときは不安になるかもしれませんが、お金が減っていくということには、良い一面もあります。
それは、あなたが未来のために投資ができているという証拠だからです。” (p104)
という事実の両面に光があてられた記述も散見され、この辺りは著者のご自身のご経験であったり、
多くの相談者を介して得られたであろうリアリティを感じます。
失敗が怖いから、アクションを起こす
個人で一番、印象的であったパートが、行動を促す以下の件で・・
” 本気で成功させたいのであれば、効率なんて関係なく手当たり次第にできることを試してみるはずです。” (p188)
” 他の人が躊躇していて、うまくいくかわからないときに始めるからこそ、それはチャンスになります。
それに、早いタイミングでチャンスに乗れば何度もやり直しができます。” (p242)
” ビジネスでは、多くのチャレンジが失敗に終わります。しかし、たった1つの成功によって、
多くの失敗をカバーして余りある利益を得ることができます。
この感覚が腑に落ちていれば、失敗を気にせず多くのチャレンジができます。
逆に言えば、失敗が怖いからこそたくさんチャレンジするわけです。” (p251 )
これらの裏側には、アプローチが正しければ下記のような事も、ビジネスの先人たちによって実証されているわけで・・
” しっかり売れている人はおおよその反応率を把握して集客を行っています。
例えば、「対面営業だったら10人に1人は買ってくれる」とか「紹介なら3人に1人が話を聞いてくれる」とか
「メルマガやダイレクトメールの反応率は1,000人に1人」とかです。
最初から反応率がわかっていると、結果が思わしくないからといって、ガッカリしたやる気をなくすことはありません。
反応率に応じた計画を最初からしておけばいいわけです。” (p194-195)
起業で然るべきマインドセットを学ぶ一冊
とかく目の前の事、視野を狭められがちなところに、あるべき姿、客観的な視点が示され、
文字通り、「教科書」として使えるところに本書の大きな価値があると思い、「起業」に関心のある方に広くオススメです。