前日、刊行記念のトークショーに参加した
放送作家 石田章洋さんの『おもしろい伝え方の公式』を読了。
(上記)イベント対象書籍ということで購入した一冊で、いざ読み始めようかという段階で、235ページに及ぶ厚みに一瞬及び腰となったものの・・
読み始めたら為になることが簡潔に書かれていて、サクッサクッといった感じで読了に至りました。
本書は、石田章洋さんが落語家から放送作家に転身された経緯で、
” 「どうして、この人の話はおもしろいのだろう」、「なぜ、あの人の話はウケるのだろう」と考え続け、
身の周りにいる「なぜか話がおもしろい人」の話し方も、注意深く観察してきました。
また、古今東西の「笑い」について書かれた本を読み漁りました。
その結果気がついたのが、「誰でもおもしろい話ができる伝え方の公式」が存在するということです。”(p6)
と、(センスがなくても)笑いが起こる公式を見出され、実例や証言などを通じて公式が明かされている一冊。
コミュニケーションの大原則と笑いが起こる仕組み
本の序盤は、まず
“「空気を読む」こと。これこそがあらゆるコミュニケーションの基本中の基本です。”(p54)
というコミュニケーションの大原則に始まり、留意すべき点は簡潔に指摘されています。
印象的であったのは、以下の「笑い」が定義されている部分。
” 「人はなぜ笑うのか?」
このシンプルだけど根源的な疑問について、古今東西の哲学者が考え続け、さまざまな理論を発表してきました。
その中で、私がもっとも納得できたのは、・・中略・・ 「浪速の爆笑王」と呼ばれながら1999年に59歳の若さで他界した落語家、二代目桂枝雀師匠の言葉です。
桂枝雀師匠が唯一の笑いの原則としたもの、それこそが「緊張の緩和」の理論です。それを、桂枝雀師匠は「緊緩(キンカン)の法則」と名付けました。
この理論は、いたってシンプル。人は緊張が緩和された時に笑うのです。”(p84〜85)
因みに明石家さんまさんも「人を笑わせるのが苦手」と話した日本テレビの桝太一アナウンサーに
” 「笑いに教科書なんてないですからね。突きつめれば、「緊張の緩和」だけなんです、笑いなんて。緊張させて緩和させるだけなんです」”(p86)
とアドバイスされたそうな。
本では「キンカンの法則」が実名(小池百合子東京都知事、ソフトバンクグループを率いる孫正義さんetc)に実例入りで、丁寧に説明されており、腹落ちさせてくれます。
話を映像化する効用
また、石田章洋さんの質問に答える形で(六代目)三遊亭円楽師匠がトークショーで語られていた通り、
話しを映像化することの重要性についても説かれており、
” 短い話なら、場の空気を読んで、「キンカンの法則」を使って話せば、ある程度の笑いはとれるでしょう。
ですがやや長めの話、たとえば身の周りで起きたおもしろい出来事を人に話す時などは、伝えるテクニックも必要になってきます。
・・中略・・
伝え方のコツもたったひとつだけ、それはずばり相手の頭の中に映像が浮かぶように話すことです。
話を映像化すれば同じネタでも2倍、おもしろくなりますよ。”(p148)
という前段をもとに、映像化についてもページ数を割いて説明がなされています。
「笑い」を起こす実践の書
ボリュームがある分、一読しただけで全てを消化することは難しいですが、
心得るべきポイントが、空気を読む、キンカンの法則、映像化と端的に整理されていて、
それぞれに、腹落ちさせられる文章が添えられていますので、すっきりした読後感を与えられ、
日常生活の中で「ちょっと試してみようかな〜」と、その気にさせられる一冊です。