通算九作目となった伊東潤さんの著書、本作も照準を合わせていたサイン本
入手機会を捉えて購入。
その名は承知しておれども・・
ということで著者(&タイトル)買いで、内容については承知していませんでしたが、本作の主人公は江戸時代を生きた大塩平八郎。
” 人が集まる場所は、犯罪も多くなる。それを取り締まるのが東西町奉行所、すなわち大塩平八郎たちの仕事場だった。”(p10)
大坂を舞台に、
” この大塩平八郎、この世から悪を取り除くことに命をかける所存!」”(p61)
と与力の職に就き使命に生きた大塩平八郎が、後世を想い陽明学の塾を興し人材育成にも傾注しながらも、
” 「このままでは民は飢え死にし、各地で一揆が起こる。そうなれば公儀とて無事では済まぬ」”(p265)
足元で蔓延した惨状に思いを決し立ち上がり、迎えいく最期がクライマックスとして力強く描かれています。
貫かれし見事なる生きざま
大塩平八郎の名は日本史の講義を通じ脳裏に刻まれていたものの「大塩平八郎の乱」程度の知識にとどまっていましたが、
生きざまを貫くため潔白の最愛の人と袂を分つなどブレず貫かれていった姿勢が見事。
立ち向かった巨悪が権力と結びついていたため、存命中〜没後即思いが成就されることには至らずも流れを形成し、後世の判断に委ねられた部分では、これからも語り継がれる偉人であったものと人物データが更新され、その部分、読中惹き込まれ十二分な読後感を得られました。