小説家 伊東潤さんが、蘇我馬子の生涯を描いた『覇王の神殿』を読了。
Twitterでサイン本が稀少である旨が流れてきて、
サインが書かれている動画を見ているうち
「サイン本、買えたら(読んでみよう)」の思いに至り、売場を往訪した際、
” 馬子、推古大王、聖徳太子らが目指した理想の軌跡を辿る “
なる帯から想起させられる内容に「日ごろあまり感じないロマン(のようなものを)感じ、最後の一冊で売り出されていたサイン本との巡り合いから
手元に引き寄せていた著書。
父から子へ託された仏教国への悲願
近年、日本史への興味を強くしているものの、もっぱら対象は近現代史で
本書の主人公 蘇我馬子は、名前は頭に入っていたものの「教科書の最初の頃に出ていたなぁ」という程度。
序盤、
“「馬子よ、何としても仏教を国教にするのだ。仏教こそが国を束ねる根幹だ。そのためには壮麗な祭殿か仏舎(寺院)を築き、この世に天寿国を出現させるのが、最も手っ取り早い方法だ」”(p39)
と死期の迫った父 蘇我稲目から若干 二十歳ながら国(日本)の命運を託され、授けられた深慮遠謀を巡らせ、相次ぐ危機を跳ね返し如何にして仏教国の礎を築いていったかという物語。
前提なしで楽しめた日本国創成のロマン
既述のとおり、時代背景に人物像もまっさらの状態でしたが、巻頭に関係略図や
語彙も
” 大臣とは群臣の頂点に立ち、彼らの意見をまとめて大王に伝える役 “(p28)
と丁寧に説明され話しが進行していくので、問題なく描かれた舞台に入り込んでいくことが出来、
また、全体は383ページと長尺ながら構成が
プロローグ
第一章 蕃神の守護者
第二章 仏敵掃滅
第三章 仏聖降臨
第四章 無量光の彼方
という章立てから章ごとにハイライトが訪れ、章内も細かく項目立てされ、迷子になることなくストーリーに惹き込まれていきました。
話しが進むほど読前に感じていたロマンが満更ではなかったと魅了され、「古代史もいいなぁ」と認識を書き換えられ、
「また、サイン本の出会いとともに伊東潤さんが描く舞台に入り込むことが出来たらなぁ」と、古代日本を築いた人物の躍動に爽快な読後感を得られました〜