音楽評論家 伊藤政則さんの『伊藤政則の “遺言” 2』を読了。
先週参加していたトークイベント『政則十番勝負』時に入手。
本書の前作にあたる『伊藤政則の “遺言”』⬇︎ が
面白かったため、続編を楽しみにしていて満を持しての読み始め。
洋楽を取り巻く厳しい現実
最初の方はBruce Dickinsonが IRON MAIDENを、Rob HalfordがJUDAS PRIESTを(それぞれ)脱退しながら
” ブルースだって困っているわけだから。自分のソロだと客が入らない。マーチャンも売れない。でもメンバーにギャラを払わないといけない・・・”(p19-20)
元の鞘に収まっていった当時の状況や背景に迫ったりといったところから。
全編を通じて衝撃的であったのは、
” 欧米では、今回の彼らのツアー、韓国で1月にスタートしたけど、日本に来なかったでしょ?オファーはしたんですよ。
さいたまスーパーアリーナで1回で、でもスキップされちゃって。つまり「日本に行かなくていい」という判断。”(p31)
と、事例はMETALLICAですが、ロック界における日本市場の現状は、伊藤政則さん曰く
” 伊藤:いやいやいやいや・・・ ヤバイですよ。”(p127)
という次元。つまびらかにされる実態が、
” 80年代末にして開局して大阪の音楽の歴史を変えたと言われるFM802の90%以上が今や邦楽になり、洋楽が10%を切ってる。”(p113-114)
洋楽好きの間で共有されて久しいハコ(会場)がない原因も
” 問題は、邦楽のバンドの絶対数が圧倒的に多いということです。
今の10〜20代は洋楽ロックを聴かなくなってるという言い方をされるけれども、邦楽バンドの数が多くなっているのと同時に、
そこに付いているファンの絶対数も多くなってきているから、「青春の思い出で武道館だけはやりたい」みたいな邦楽バンドにとって、ハードルが随分低くなってる。
7,000人くらいは集められるバンドの数が、相当多くなっているらしいんだよ。武道館はそういう邦楽アーティスト達に押さえされてしまう。”(p204)
など、これでもかといわんばかりに示されています。
ロックの瀬戸際
LOUD PARKなどのフェス(ティバル)でヘッドライナーを務められるバンドもリタイア期に差し掛かり、もともと頭数が限られるところ世代交代出来ていない状況など、
何となく聞いて分かったような感覚でいたことに、「そういうことだったのかぁ」と新たに知らしめられる実態に・・
本の内容としては伊藤政則さんならではの情報、見立てが興味深く、読み応えありましたが、
ずっしりと厳しい現実を見せつけられた思いで、双方を差し引きするとやっぱり「重たかった」です、、。