「今年(2021年)はないなぁ」と感じ始めていた折、告知があり、2020年末以来7ヶ月ぶりでの開催となった
音楽評論家 伊藤政則さんのシリーズ化しているトークイベント『遺言』の「伊藤政則の『遺言』オンライン・スペシャル3」を週の締め括りに(アーカイブ)視聴。
配信ライヴの限界、アルバム制作にシフト
冒頭、進行の広瀬和生 BURRN!編集長から上半期の総括を問われ、伊藤政則さんは
一時盛んになった配信ライヴがめっきり開催されなくなったことに配信ライヴの限界が見えたとの指摘で、アーティストもライヴが出来ないならアルバムを作るしかないと、9月をピークにビッグネームを含む多数のリリースが予定されているそうな。
注目はMETALLICAが『(通称)ブラック・アルバム』発売30周年を記念してリリースする
BOXセットで、同作でコアなファンを失った反面、ヘヴィメタルのカテゴリーを超えバンド自らジャンルを確立し、多大なファンを獲得したことが分かる内容になっていると。
また、多くのアーティストがAnniversaryに気付いてリリースに動く中、METALLICAは膨大な資料を抱え、何を入れるかというより何を外すかの視点にも注目であると。
1991年プレイバック
話題は同作がリリースされた1991年頃のミュージックシーンに及び、まだバブル経済の最中にあり、アメリカは湾岸戦争に突き進み経済力が失われる中、
日本は退潮が感じられずレコード会社に資金があり、海外取材が日常的に行われたり、本国で契約を切られたアーティスト(ex. FIREHOSE)が日本で大枚を投じられたケースが少なくなく、
伊藤政則さんなどメディアがNIRVANA、SOUNDGARDENといったアーティストを取り上げず、シーンの停滞を招いたとの指摘が一部であるものの、
NIRVANAを最初にプッシュしていたのはPOWER ROCK TODAYであったり、広瀬和生編集長もSOUNDGARDENのライナーノーツを書いていた経緯あり、
現在の時間軸で振り返ると、当時を見誤ってしまうとの指摘に力点が置かれました。
懸念されるロックダウンで受けたダメージ
その他、日本で邦楽アーティストのライヴが復活している状況から海外から「いついつ日本に行くから、よろしく」といった連絡がレコード会社などに届くものの、まだ再開出来る状況にないことを回答することが繰り返されている噛み合わぬ現状に、
最近発売されたBURRN!やrockin’ onでの広告の少なさを伊藤政則さんが指摘し、レコード会社が置かれている現状にコロナ禍、ロックダウンで一気に縮小してしまったとの洋楽に関して、危惧を示す場面もあり、
表立った動きが少なかったこの期間、裏側での動きの断片を知れ洋楽の凋落加速に、ロックが危機に瀕していることを改めて感じさせられたトークイベントでありました。