ノンフィクションライターの長谷川晶一さんが、元(東京)ヤクルトスワローズ 伊藤智仁さんの生きざまに迫った
『幸運な男 ー 伊藤智仁 非運のエースの幸福な人生』を読み始めて
全部で12章(別途、序章&終章)あるうちの第4章までを読み終えたので、そこまでのおさらい。
先日参加したトークショー
の対象書籍として入手したもの。
購入時は、その厚みに驚きましたが、「あとがき」を含め375ページ!
序章 偽りの引退
第1章 萌芽 ー 1993年・ユマキャンプ
第2章 覚醒 ー 強心臓ルーキーデビュー
第3章 脱皮 ー 高速スライダーができるまで
第4章 飛躍 ー バルセロナ五輪出場
第5章 酷使 ー 6月の全694球
第6章 暗闇 ー 長引くリハビリ
第7章 復活 ー カムバック賞獲得
第8章 異変 ー 再びの手術
第9章 岐路 ー 1年間の執行猶予
第10章 転身 ー 第二の人生の始まり
第11章 奮闘 ー それぞれの、それから
第12章 幸運 ー 彼は本当に「悲運」なのか?
終章 最後の一日
という目次立てで、前半で印象に残ったところでは、まず冒頭の「序章 偽りの引退」のネーミングに,
長期のリハビリの甲斐もなく、2003年10月29日に引退会見を行なう運びとなったものの、実はこの時
” 彼(註:伊藤智仁さん)はまだ現役を引退するつもりなど、さらさらなかったからだ。”(p23)
という驚きの舞台裏に、
前年セントラルリーグを制したものの、日本シリーズで(埼玉)西武ライオンズに敗れたヤクルトスワローズであったが、
高い評価を得て伊藤智仁さんが入団し、オープン戦では早々に大器の片鱗を見せ、日本一奪還へ機運が高まる中、
疲労に体調不良で、開幕を2軍で迎えることになった経緯に対して
“「いや、全然気にならなかったですよ。そもそも、最初に絶賛されていたときでも「マスコミ向けのリップサービスだ」と思って受け流していたし、
監督から厳しいことを言われていたときにも、「それで?」って思っていました(笑)。
そもそも、「長いペナントレース。いくらでも取り返しがつく」って考えていましたから」”(p51)
という強心臓ぶりに(笑)
社会人野球の三菱自動車京都に進んで迎えた2年目、スライダーが得意な右投手(永田晋一さん)が入部してきたことで
何気なくした質問
” 永田さんはどうやってスライダーを投げているんですか? “(p101)
が、
” この質問こそ、後の「高速スライダー」誕生の契機となった。”(p101)
と一気に才能を開花させることになる(運命の)巡り合わせに・・
伊藤智仁という生きざま
ヤクルトスワローズ在籍中の伊藤智仁投手というと、華々しくデビューを遂げて、間髪をおかず選手寿命にかかわる負傷を負ってしまった悲運のイメージが強いですが、
本書では既述の厚み(p375)を有している分、取材に過程の説明が丁寧で、
「たられば」で語るのは安易と思いますが
投手としてはとてつもない素質を秘めていた選手の生きざまに迫る一冊で、
知られざる伊藤智仁(さん)に、知られざる舞台裏に・・ 読み物として興味惹かれる奥深さとなっています。
(第5章以降の)これからピークパフォーマンスに達し、故障・・ という時間軸になっていきますが、
どのような内幕に、本のタイトルに掲げられた『幸運な男』の真意に迫っていくプロセスを楽しみにしながら本を読み進めていきたいと思います。