昭和に、街歩きに、サブカルチャー等々、多数の専門を持つ泉麻人さんが
” 昭和30年代とか40年代とか、あるいは西暦の1960年代、70年代・・・と、10年区切りの時代風俗論のようなものはこれまでにも書いてきたけれど、「昭和50年代」という括りのものはまだやっていない。
昭和も40年代後半になると、西暦の70年代で切る方がぐっと優勢になって、次は80年代に行ってしまうので、昭和50年からの10年を「こういう時代でした」とまとめる機会は少ない。
とはいえ、個人的に昭和50年代の幕開けは鮮やかな変わり目の感がある。”(p6)
といった着想からまとめられた『昭和50年代東京日記 city boysの時代』を読み始め、全40回あるうちの 22 「クリスタル」の衝撃とミーハーチックの連載コラム まで読み終えたので、今回は前半(1〜20)のおさらい。
(2023年)11月開催の田村淳さん『超コミュ力』発売記念イベントで芳林堂書店を訪れた際、イベント開始までの時間潰しで店内を回遊していた際、
本書サイン本に遭遇し購入に至っていた次第。
既述の泉麻人さんの一文にある通り、私自身多感な時期を過ごしていながら昭和50年代という区切り方はせず、もっぱら(括る機会あれば)80年代という意識でいて
” サミー・デービス・ジュニアがリズミカルにオン・ザ・ロックを作るサントリー・ホワイト。オーソン・ウェルズが渋い声で人生を語るニッカウヰスキー。ソフィア・ローレンを起用したホンダの女性向けロードバル「通称・ラッタッタ」。被写体のユル・ブリンナーがカッ、カッと奇声をあげながら小刻みに手を打ち(ブレに強いことを訴える)フジフィルム。”(p84)
に、
” ソニーのウォークマンが発売されたのもこの夏(7月)のことだった。TVガイドの編集部にヨシさんというオシャレで新しいモノ好きの人(30過ぎの独身貴族で、ワイシャツをわざわざ帝国ホテルのクリーニングに出していた)がいて、いち早くウォークマンを入手して「いいぜ、コレ」と僕も勧められた。”(p172-173)
といった記述に朧げな記憶を刺激されたり、「この頃かぁ」と懐かしまされたり。
或いは
” 東京のディスコの原点は、この10年ほど前にオープンした赤坂の「ムゲン」あるいは「ビブロス」とされ、それ以前のゴーゴークラブ(喫茶)から発展した別の小店などを「真の元祖」と唱える人もいる。”(p137)
や既述のウォークマンに関する内容では
” いまも手元に残るウォークマンはTPS-L2型という初代機で、カセットテープをセットするフタの所にWALKMANのロゴがないので、ごく初期のものになるらしい。
しかし、詳しい解説書によると最初期のマシンはヘッドフォンの挿入口の2つ穴(カップルで聴ける)の所にJACK&BETTYと記されているそうだが、僕のはGUYS&DOLLSの表記だから初回生産より少し後のタイプのようだ。”(p173)
というような蘊蓄に学びを得たり。
『銀ぶら百年』↓以来、
2年弱ぶりの泉麻人さん本となりますが、「この手のジャンルはやっぱり泉麻人さんだなぁ」と読書しながらのタイムスリップのひと時となっており、ページを捲るほど記憶の引っかかりが増え、後半にどのような記憶の蘇りに学びを重ねられるか楽しみです。