明石市前市長泉房穂さんの『政治はケンカだ! 明石市長の12年』を読了。
(2023年)5月下旬に開催された本書出版に合わせ企画されたサイン会で購入していたもの。
政治家 泉房穂の原体験
本書はジャーナリストの鮫島浩さんが聞き手となり、泉房穂さんが、4月末で退任された明石市長として取り組んだことに主として焦点が当てられています。内容は
“うちの弟は、小学校に入る前に立ち上がって、よちよち歩きではありますが、歩けるようになりました。
家族みんなで「小学校入学に間に合った」と喜び合いました。ところが、当時の行政は障害を理由に、近くの小学校への弟の入学を認めなかった。「徒歩通学は大変だから、電車とバスで行ける遠くの学校に行け」と言うのです。
誓約書を出すことで弟の入学は認められましたが、私はその理不尽さに憤りました。だからこそ、たった一人でも「例外」を出してはならないと、強く思った。
くさい言い方ですが、「冷たい社会を優しい社会に変えたい」と本気で思い、小学5年生の時には明石市長になりたいと考えるようになりました。”(p23-24)
と政治の道を志すことになった原点に、
” 私が学生だった80年代は、ちょうど、ポーランドでレフ・ワレサが、民主化運動を引っ張っていた時代と重なってまして。ワレサが電気技師として働いていたグダニスク造船所に行ってしまうぐらい心酔していました。”(p29)
圧巻の行動力を発揮していた学生時代に、
” 私、四字熟語でいちばん好きなのが「四面楚歌」。四面を敵に囲まれてしまっても、まだ空と地下が残っている。そういう状況、ホンマに好き。「まだまだ行けるとこあるぞ」と、体中からエネルギーが湧いてくる。
・・中略・・
逆境が好きなのは、「どうボロボロになったって必ずまた這い上がってくる」という絶対的な自信があるからです。”(p53-54)
と市長実績に限定されず、本書にさまざまな既得権益と戦い、前例を覆してきた具体例が多数示されていますが、(実現した政策の数々は本書をご参照頂くとして)初志を貫くことになる胆力に、泉房穂さんの内面についても掘り下げられており読みどころになっています。
気になる市長退任後・・
泉房穂さんの著書は↓
3月以来で、2月初旬に開催された『社会の変え方』出版記念イベントの際に市長退任後のご意向について尋ねた際「まだ決めていない」とのご回答でしたが、この部分、今回読んだ『政治はケンカだ! 明石市長の12年』から記述を拾うと
” 選挙というものは、やっぱり可能性の宝庫なんです。どんなに期待の持てない状況でも、そこを諦めてはいけません。
そのために、私にできることがある。市長という看板は下ろしますが、政治に携わることはやめません。「冷たい社会を優しくする」闘いは、これからも一生、続きます。”(p261)
と表明されており、改めて今後のご活躍に期待抱かされる、政治に興味を持つ人たちにとっては軽く刺激的な一冊であるように思います。