前々回に中間記↓をアップロードした
『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』を読了.-
中間記を書いている時点は一章の後半で、苦戦気味でしたが、
二章に入ると一章の大東亜戦争の六つの作戦のエッセンスが抽出され論が進められ、
読み進めるペースが上がり、後半残り約200ページは実質2日で読み切りました。
要点として付箋したのは・・
大東亜戦争から教訓とすべきこと
” いかなる軍事上の作戦においても、そこには明確な戦略ないし背作戦目的が存在しなければならない。
目的のあいまいな作戦は、必ず失敗する。
それは軍隊という大規模組織を明確な方向性を欠いたまま指揮し、行動させることになるからです。
本来、明確な統一的目的なくして作戦はないはずである。ところが、日本軍では、こうしたありうべからざることがしばしば起こった。”(p268)
” 日本軍の戦略策定は一定の原理や論理に基づくというよりは、多分に情緒や空気が支配する傾向がなきにしもあらずであった。”(p283)
” 日本軍の戦略策定が状況変化に適応できなかったのは、組織のなかに論理的な議論ができる制度と風土がなかったことに大きな原因がある。
日本軍の最大の特徴は「言葉を奪ったことである」(山本七平『下級将校の見た帝国陸軍』)という指摘があるように、
戦略策定を誤った場合でも、その修正行動は作戦中止・撤退が決定的局面を迎えるまではできなかった。”(p289)
といった見解が示され、本の最後部で
” 日本の政治組織についていえば、日本軍の戦略性の欠如はそのまま継承されているようである。
しかしながら、日本政府の無原則性は、逆説的ではあるが、少なくともこれまでは国際社会において臨機応変な対応を可能にしてきた。
原則に固執しなかったことが、環境変化の激しい国際環境下では、逆にフレキシブルな微調整的適応を意図せざる結果としてもたらしてきたのである。
しかし、経済大国に成長してきた今日、日本がこれまでのような無原則性でこれからの国際環境を乗り切れる保証はなく、
近年とみに国家としての戦略性を持つことが要請されるようになってきていると思われる。”(p395-396)
といった具合で、大東亜戦争(ノモンハンは予告的位置付けで包括)における教訓が、現代の文脈に課題として指摘されています。
遺された教訓を活かすには・・
抜き出したのは一部で、
付箋箇所は多岐に及びましたが、本書について掘り下げて学ぶ機会を得られたので、
一読した状態から更に深化を図りたいと思います。