「ジェイソン・ベッカー 不死身の天才ギタリスト」鑑賞記+マーティ・フリードマンが語ったジェイソン・ベッカー

 

封切りとなった「ジェイソン・ベッカー 不死身の天才ギタリスト」を鑑賞してきました。

新宿の上映館 シネマカリテでは、公開初日、Jesse Vile/ジェシー・ヴィレ監督と

CACOPHONYでツインリードを担い、Jason Becker/ジェイソン・ベッカーが兄貴分と慕うMarty Friedman/マーティ・フリードマンを迎えたトークショーがあり、

2日前の発売日に劇場に足を運び券を入手、という期待感。

 よくぞ日本で封切ってくれたの喜び

このドキュメンタリーは完成時(2012年)から知っており、間隔が空いた事もあり、日本公開については期待していませんでしたが

思わぬ展開(封切り)に、内容はシリアスで楽しめるかは「?」なところもありましたが

VAN HALEN、David Lee Rothファンとして。特にDavid Lee Rothのソロ作で、Jason Beckerのギター・プレイが全面的にフィーチャーされた “A LITTLE AIN’T ENOUGH”に魅了されたものとしては、鑑賞を宿命付けられたような作品。

同じ思いを共有する人たちとの一体感

劇場に足を踏み入れるなり、飛び込んで来た「完売」の二文字。

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レセプションスペースではTシャツ販売も。3サイズあり、3,800円(税別)
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上:Front 下:Back

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満席という事で待ち合いのホールはちょっとした熱気がありましたが、客層は映画というより、さながらコンサートといった(笑)

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開場時間を迎え、場内へ
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のんびり、最後列からの眺め

程なく入場時間を迎え、レイトショーにつき、まず第一部のトークショーから。

元BURRN!編集部の 増田勇一さんのMCのもと、Vile監督の製作秘話やMarty FriedmanのJasonとの交流話しなど。

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トークショー参加のMarty FriedmanとJesse Vile監督のサイン入りポスター

製作秘話は、ギター少年で15歳ながらJason Beckerのプレー振りに度肝を抜かれたところから、Jasonに関心を持ち、病気の事を知り、映像化したい旨のオファーを(Jasonに)伝え、応諾を得たそうな。

但し、当時のVile監督に映画製作の経験はなく、そこから10年の年月が経過。そのインターバルを経て、再度、Jasonにアプローチして、製作が始まったようですが

Vile監督の長編作は本作がデヴュー作で、出来てみないとどうなるか分からないところはあったかと思います。

映画の話しが具体化して、MartyFriedmanにも話しがいき、幾つか同様の企画があった中で、Vile監督の熱意に打たれ、協力する事に。

但し、OKを出した後に「悲劇の主人公的」な描き方がされてしまうのか、非常に気になったそうな。

完成後、それは杞憂に終わった事を実感する事になりますが、確かに観賞後の感想は

治療法のない病気(ALS:筋萎縮性側索硬化症)に冒されてしまう無情さは否定出来ないですが、

Jasonがそれを受け入れて、例えば家族がJasonと意思疎通を図るツール(目の動きでアルファベットを特定)を編み出したり、

友人がそういった環境でも音楽作りを出来るソフトウェアを開発したり、限られた条件の中で、最大限の事をやろうとする姿勢に、とても前向きなメッセージが込められています。

 

都はるみ聴きながらギター弾きまくった仲

Marty FriedmanのJasonとの交流話しは、Martyが「さぁ、いよいよ」とソロアルバム作りに意気込むも

(レコード)レーベルの創設者(マイク・ヴァーニー)からJason Beckerとのコンビでの売り出しを提案され、

出ばなを挫かれた感も、「お前、この曲弾けるか?」との振りに、見事に弾いてみせた力量に驚かされ、これがCACOPHONY/カコフォニーでのデヴューにつながっていく事になった話しであるとか

Martyが仕入れてきた都はるみのテープをかけながら、二人でギターを弾きまくった話しなどが披露されました。

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映画終了後、Marty Friedmanと

上映終了後には、Jesse Vile監督のサイン会が開催され、写真撮影に応じて頂くなど、一本のドキュメンタリー、映画を上回る思い入れを抱く作品になりました。

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Jesse Vile監督のサイン会の模様
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autographed by Director Jesse Vile

個人としては本作にDavid Lee Rothの出演がない疑問を監督にぶつけられ、気分がすっきりました。

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David Lee Roth with Jason Becker. 2人で撮った写真は僅か2枚しか存在しないそうな

悲劇性はあるものの、生き様の見事さは素晴らしい

幼くしてギターに出逢い、文字通り、寝食を忘れるくらいにギターに没頭して、ギターの専門誌に送ったデモテープから注目を浴びる事になり

プロとしてのキャリアが始まり、ティーンエイジャーであるうちに二度、来日にするなどの将来を嘱望された若者が

意識ははっきりする中で、身体の自由の一切が奪われてしまうという絶望感との対峙は一般人に想像を絶する次元の話しに違いないと思いますが

映像から伝わるメッセージに大きな救いと共に、自身の得られている健康が如何に尊いものであるかを実感させられました。

作品のテーマ、舞台から公開期間は限られてしまうかと思いますが、特にロックンロール好きの方には

治療法のないALSについて学べる機会であると同時に、また、1人の才能豊かなミュージシャンの物語として

是非一度作品に触れる機会を持ってもらいたいと感じた作品でした。

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シネマカリテに設けられた展示スペース

 


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