『ビジョナリー・カンパニー② 飛躍の法則』を読了。
約350ページの分量に腰が引け気味でしたが
最後の4分の1程度は注釈であった事から、一般的な書籍(180〜200ページ)より、若干集めといった程度。
米国企業が取り上げられている事もあり、馴染み難い部分もあり、時に難解なパートもありましたが、章毎に「まとめ」が掲載されており、理解を助けてくれます。
それでは、前回の続きより・・
>> ジム・コリンズに学ぶ、経営者の至高の資質:『ビジョナリー・カンパニー』読み始め <<
「最後には必ず勝つ」という確信
まず、原則論的なところから
” 人はだれでも、人生のどこかで失望を味わい、絶望的な事態にぶつかる。納得できる「理由」もなく、責任を追求できる相手もいない挫折を味わう。 ・・中略・・
違いをもたらすのは、困難にぶつかるぶつからないではない。人生のなかではかならずぶつかる困難にどう対応するかだ。
厳しい状況にぶつかったとき、最後にはかならず勝つという確信を失ってはならず、同時に、自分がおかれている現実のなかでもっとも厳しい事実を直視しなければならない。(ストックデールの逆説) ” (32%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)
つまり
”どれほどの困難にぶつかっても、最後にはかならず勝つという確信を失ってはならない。
そして同時に それがどんなものであれ、自分がおかれている現実のなかでもっとも厳しい事実を直視しなければならない” (32%)
卓越の領域を呼び込む「針鼠の概念」とは・・
次いで、本書のメッセージで最も中心的な概念の一つ「針鼠の概念」について。
” 針鼠の概念は単純で明快な概念であり、以下の三つの円が重なる部分に関する深い理解から導き出されている。
(一)自社が世界一になれる部分はどこか(同様に重要な点として、世界一になれない部分はどこか)。 ・・中略・・
(二)経済的原動力になるのは何か。飛躍した企業はいずれも、鋭い分析によって、キャッシュフローと利益を継続的に大量に生み出すもっとも効率的な方法を見抜いている。 ・・中略・・
(三)情熱をもって取り組めるのは何か。偉大な企業は、情熱をかきたてられる事業に焦点を絞っている。” (36%)
” 以下の三つの基準に合う仕事ができると考えてみよう。第一に、持って生まれた能力にぴったりの仕事であり、その能力を活かして、おそらくは世界でも有数の力を発揮できるようになる(自分はこの仕事をするために生まれてきたのだと思える)
第二に、その仕事で十分な報酬が得られる(これをやってこんなにお金が入ってくるなんて、夢のようではないかと思える。
第三に、自分の仕事に情熱をもっており、仕事が好きでたまらず、仕事をやっていること自体が楽しい(毎朝、目が覚めて仕事に出掛けるのが楽しく、自分の仕事に誇りをもっている)。
この三つの円が重なる部分を見つけ出し、それを単純で明快な概念にまとめて自分の指針にすることができれば、自分の人生を導く針鼠の概念を確立できたことになる。” (36%)
現実世界では
” 自分が完全に卓越できなかったり、望みの水準を達成できない仕事にひきつけられたり、おしこめられたりする人が多い。
「能力の罠にとらわれ」、明快な針鼠の概念を確立できない状態になって、偉大な業績をあげることはまずできない。” (37%)
経営者であれば会社に当てはめてみて、経営者でない方であっても個人に当てはめて読む事が出来ますね。
” 「何かをうまくできるからといって、利益をあげていて成長しているからといって、それで最高になれるとはかぎらない」と判断する規律がなければならない。
飛躍を遂げた企業は、無難に仕事を続けていても無難になれるだけであることを理解している。どこにも負けない事業になりうる部分に注力することが、偉大な企業への唯一の道である。” (37%)
なお、どの組織も針鼠の概念を見つけ出すことができるのか、という問いに対して・・
” あるとき目が覚め、厳しい現実を誠実に見つめるようになって、「世界一といえる部分はどこにもないし、これまでにもなかった」との結論に達したとすれば、どうすればいいのか。
この点にこそ、今回の調査でもとくに素晴らしい発見があった。選ばれた十一社の半数以上は、世界一だといえる点はどこにもなかったし、世界一になれる見込みもなかった。
だが、どの企業もストックデールの逆説を信じて、こう考えた。「世界一になれる点がどこかにあるはずだ。それを探し出してみせる。
世界一になれない点がある厳しい現実も、直視しなければならない。この点で幻想を抱いてはならない」。そして、そのときの状況がどれほど惨めであっても、針鼠の概念を見つけ出すことができている。” (42%)
” 飛躍した企業は、産業がどれほど悲惨であっても、卓越した利益をあげる方法を見つけだしている。” (43%)
なお、ベンチャー企業に関して
” ベンチャー企業が偉大な企業になる例はきわめて少ないが、これはかなりの部分、成長と成功への対応を間違えるからだ。
ベンチャー企業の成功は、創造力と想像力、未知の領域への大胆な進出、先見性に基づく熱意によるものである。” (44%)
その他、「規律」に関して
” 偉大な業績を維持するカギは、みずから規律を守り、規律ある行動をとり、三つの円が重なる部分を熱狂的ともいえるほど重視する人たちが集まる企業文化を作り上げることにある。” (52%)
「弾み車効果」に関して
” 当初はいかに小幅なものであっても、目に見える成果を指摘し、これまでの段階が全体のなかでどのような位置を占めているかを示し、
全体的な概念が役立つことを示す。このようにして、勢いがついてきたことを確認でき、感じられるようにすれば、熱意をもって参加する人が増えるようになる。” (63%)
” 適切な人たちが何よりも望んでいることは、何だろうか。勝利に向かって進んでいるチームの一員になることだ。” (63%)
ビジョナリー・カンパニー② の全体像
以上、読んでいて刺さりのあった部分を引用しましたが、本全体の構成としては
1. 第五水準のリーダーシップ:第五水準の指導者は自分がいなくても前進していける企業を築く。
2. 最初に人を選び、その後に目標を選ぶ:「最初に人を選ぶ」とは、能力やスキルではなく、基本的価値観と目的への適合性によって人を選ぶことを意味する。
3. 厳しい現実を直視する:厳しい現実を直視すれば、組織がほんとうに基本的なものとしてもっている価値観と、基本的価値観にしたいと希望しているだけのものを識別できる。
4. 針鼠の概念:「情熱をもって取り組めるもの」の円は基本的価値観と目的に見事に重なる。情熱をもっていて、どんな状況になっても放棄しない価値観だけが、ほんとうの基本的価値観である。
5. 規律の文化:規律の文化によって、組織の価値観と基準を有していない人ははじき飛ばされる。
6. 促進剤としての技術:偉大な企業では、技術が基本的価値観に従属するのであって、その逆ではない。
7. 悪循環ではなく弾み車:悪循環に陥れば、従業員は「会社の存続意義と理念は何なのか」とつねに考えることになり、基本的価値観と目的を浸透させることができない。(70%、各箇所適宜編集)
が、全体像となります。
中途のところでも書きましたが、会社に当てはめるも良し、個人が社会と関わる中での座標軸として用いるのも良し、
そこそこに良い「比較対象企業」から、僅か十一社しかない「偉大な企業」となった共通項を学ぶ事で、読み込みが深化する事で、本質的な事が浮かび上がって来ることでしょう。(☜ 学び始めの身分より ^~^)