経済評論家 上念司さんの『誰も書けなかった日本の経済損失』を読了。
先月(2020年8年)開催されたサイン会の ⬇︎
会場となったブックスタマ小作店でタイトルに興味を持ち、買い求めていた一冊。
利権を持つ人々、気づかぬ人々
本書は、
” 消費増税による国民の損失は、財務省の利益になる。この点で財務省は「利権を持つ人々」の一員と言えるだろう。
そして、極めて残念なことに「利権を持つ人々」は、全体をよくすることに関心はないのだ。
・・中略・・
実は、消費税増税に限らず、日本や世界を悩ますさまざまな損失の原因はここにある。
背景に必ず存在する「利権を持つ人々」が全体の利益を無視して自己の利益を追求することが大問題なのだ。”(p7)
と冒頭の「はじめに」で問題提起がなされ、
本編では
サービス残業、ダラダラ会議、ひきこもりなど、様々な事柄が俎上に上げられ、
” 本書を執筆する際に引用した資料は、ほぼすべてインターネット上に無料で公開されているものである。”(p222)
と、種々の統計等を駆使して、それぞれの損失の実態に実害のほどが、金額で試算される試みもなされています。
印象に残ったところでは、結論部で
” 睡眠不足の社会的損失は最低でも医療費増加分の8,378億円、最大でランド研究所の推計値15兆円と、現時点では推計される。
いずれにしても、極めて大きな社会的損失が毎年出ていることは間違いない。
・・中略・・
ところが、睡眠不足はこれだけ大きな問題であるにもかかわらず、政府や国民の関心が低い。
・・中略・・
交通事故の死亡者数は過去最低にまで減っている。不謹慎な言い方をすれば、人が睡眠不足でガンになるよりも、事故に遭って死ぬ方が難しいのかもしれない。”(p80)
と指摘された多くの人たちが自覚しているであろう睡眠不足が、誘発しかねない一大事に、
スケールは幾分と拡大するものの
” 意外な結論だが、米中貿易戦争による損失があるとしたら、それはチャイナ企業が一方的に負担している関税分程度ではなかろうか。
それ以外の景気低迷の原因は、主に習近平の採用した誤った経済政策にあるのだ。
何でもかんでも米中貿易戦争のせいだとこじつけるのは、いい加減にやめた方がよい。”(p203)
というニュースの見方を一変させられるような米中貿易戦争への指摘に・・
その問題、どれくらい?
チクッと刺されるような身近な事柄から、ニュースでヘッドライン級の扱いを受けるトピックに至るまで
興味の抱き方に感じ方はそれぞれながら、相応に信用性のある公開情報から導き出された
それぞれの闇の濃淡が数値で示されていくアプローチが興味深かったです。