全588ページに及ぶ『永遠の最強王者 ジャンボ鶴田』を読了。
中間記⬆︎後、読み進めたのは
第7章 真のエースへの階段
第8章 覚醒
第9章 鶴龍対決
第10章 完全無欠の最強王者
第11章 そして伝説へ
で、天龍源一郎選手との対立軸、対戦に焦点を当てた 第9章 鶴龍対決 に最も読み応えを感じ、
“「こういうジャンボの顔は今までなかったですね。これがやっぱりジャンボに必要なんですよ。今まで一番ジャンボに欠けていたものが、この試合に出てきましたね。ですから、こういう試合はやっぱりやるべきですね、いいですね!」”(p356)
と解説席に陣取ったジャイアント馬場選手を激賞させた、それまでジャンボ鶴田選手に欠けていた
“「技術的に凄いものを持っているのに表現力が駄目なんだ」”(p472)
という部分を天龍源一郎選手との戦いで覆し、ジャンボ鶴田選手が一気に覚醒していった軌跡、戦いぶりが綴られていて、
自分自身は全日本プロレスから遠ざかっていた時期でしたが、その戦いぶりを文字で辿っていくだけでも、凄み、迫力が存分に伝わってきました。
挙句、当時を振り返り天龍源一郎さんは
” 今の俺がこんなに五体不満足なのは、ジャンボ鶴田の技を食らうだけ食らった結果だよ」”と天龍は言う。”(p387)
と、凄まじかった戦いの一端がうかがえる言及で。
その類稀なる
ジャンボ鶴田さんのアスリートとしての凄みは、本書に複数回出てくる
” バスケットをやってた人間が、何か月かアマレスやったらオリンピックに行っちゃうぐらいなんで “(p522)
の記述から読み取れるでしょうし、故三沢光晴選手の
” 鶴田さんの凄さっていうのは、ほとんど天性のものだから。バネといい、スタミナといい、プロレスラーのトレーニングというよりも、言い方は悪いけど、他のスポーツで遊びながら鍛えていくというのかな。試合中に全然疲れた顔を見せないし・・・”(p529-530)
或いは川田利明さんの
” お客さんに喜んでもらえるとか、人を惹きつけるとかそういう面では違うと思うけど、フィジカル的なものでは最強だと思う、”(p574)
等、戦いを重ねたプロレスラーたちの評価から不動のものであるように理解しました。
ジャンボ鶴田を存分に感じられた渾身の588ページ
輝かしいリング上での雄姿とは裏腹に、トップレスラーである頃からB型肝炎を患い、向き合わされ
” 当時、俺はもちろん天龍さんもジャンボが肝炎のキャリアだとは知らないから「源ちゃんにテイク・イット・イージーって言っといて」っていうジャンボの言葉に天龍されは「やってらんねぇ」ってなっちゃったんですよ。”(p452)
と、後に天龍源一郎選手の全日本プロレス離脱、SWS創設につながる行き違いに、、
現役引退を早められ、肝臓移植手術を受けるべく人知れず海外の病院を転院していた最晩年の記述に切なさを覚えましたが、
本書を通じて、名前はしっかり頭に入っていたのだけれども、その詳細について分かっていなかったジャンボ鶴田選手の特に凄みについてよく理解出来、分厚かったけれども見合う読後感を得られました。