女優 梶芽衣子さんの著書『真実』を読了。
先日参加したミニライブ&サイン本お渡し会の対象書籍で、
(イベント)翌日から読み始めて3日目に読了。
存分に伝わる梶芽衣子さん伝説と「らしさ」
話しは高校時代に銀座でモデルにスカウトされたことに始まり、右も左も分からない状態での映画撮影の際、
” ロケで撮影した映像を見ながら、せりふをスタジオで録音するアフレコで、初体験だった私は勝手がわからずに失敗を繰り返しました。
するとスタジオ内にいた先輩たちが嘲笑したのです。その瞬間、私は「笑わないでください。あなたたちは初めからこれができたんですか!」と言い放っていました。”(p16)
或いは
” 吉永小百合さん主演の『あゝひめゆりの塔』(一九六八年)という作品の時、舛田利雄監督から沖縄民謡の谷茶前節を練習するように言われました。
・・中略・・
とにかく女学生がたくさん出る映画で、せりふがあるかないかというくらいの役でしたから、そのシーンは私という存在をアピールできる数少ないチャンスです。
ですからものすごく練習しました。おかげで五十年後の今でもすぐに歌えるくらいです。ところが監督が急に方針を変えてしまったのです。
・・中略・・
あまりに突然だったものだからこっちも「ちょっと待ってください!」という態度に出てしまいました。
「練習しろと言われたから一所懸命練習しました。アカペラだって今すぐ歌えます。そう簡単におっしゃらないでください。
歌えないのであれば私はこの映画には出ません」と言ってセットを出ちゃったんです。
あんなに練習したのに簡単に言われてしまったことが悔しかったのです。”(p24-25)
とデビュー後間もない新人ながら先輩たちに物怖じせず衝突を繰り返していたエピソードの数々に、
代表作の『女囚さそり』のオファーがあった際には
” 「女囚なんか嫌よ」と言って台本を返したのですが、読むだけ読んでほしいとおっしゃるのでお預かりしました。
読んでみたら想像通り。タメ口羅列の女囚同士の喧嘩だらけで、安っぽいエログロ作品になりそうな内容でした。
これはとても自分にはできない。けれど原作の漫画も読んでみて「アッ!」と気づいたことがありました。
ヒロインがまったく言葉を発しなかったら面白くなるんじゃないか、と。刑務所に新入りが入ってくれば、イジメやリンチがあるのは当たり前。
そこで面と向かって相手にせずに無言で通したら凄みが出ます。そうやって無視し続ければやがて相手はあきらめる。それで勝負してやろうと思いました。”(p.40)
と(映画)製作の舞台裏に、
” 私は俳優ですからたとえばストリッパー役の依頼が来て、脚本がよくて面白いものになりそうなら、自分がやりたいと思えばやります。
脱ぎたくないとかラブシーンが嫌だとか、そういうくだらないレベルで仕事を決めるようなことはありません。”(p41)
という役者としての矜持に、何より梶芽衣子さんの人間性が強く文面に反映されているのが、特徴的で、
完全に梶芽衣子伝説を後追いの自分としては、梶芽衣子さんが積み重ねられたキャリアに、それを実現したキャラクターが一冊180ページにまとめられている有難い一冊でした。