神田昌典さんが、最初で最後、起業家育成を手掛けるプログラムの「ビジネスプロトタイピング講座」の第2回講座に参加。
今回は、株式会社ネクシィーズの近藤太香巳社長の登壇。近藤社長の講演は4月のセミナーズ・フェスタ以来、2度目。
近藤社長の最も人数を集めて行なった講演がセミナーズフェスタでの約6,000名で、最小が今回の30名程度。
ビジネスプロトタイピング講座の初回は・・
>> 藤原和博さんが教えてくれた「それぞれ一人一人」の時代の「稼ぎ方」:神田昌典ビスネスプロトタイピング講座 その壱 <<
2,000名規模のオンラインでのUstream受講者が居たものの、今回は非公開。
「無料で聴講出来ますよ」と情報を流して自分としては冷や汗ものの、史上最年少で上場を果たした起業家の話しを体感出来る稀少な機会。
今と大きく異なる時代背景
近藤社長が起業したのは若干19歳。当時はべンチャー、アントレプレナーといった言葉はなく、
「この若造に何が出来る」と門前払いされるのが常であったそうな。
良かったのは、情報が無かった時代なので考えながら動いた事。
近藤社長が起業志望者向けに講演される機会は多いものの、経営者になる人が少ないのは、今の時代、情報に溢れていて考え過ぎて行動出来ていないと。
超一流と一流を分ける僅かな心掛け
近藤社長が定義する仕事は想像と工夫だとして、以下のレベルに分類される。
三流・・・期待されない人
二流・・・期待されても出来なかった人
一流・・・期待に応えた人
超一流・・・期待を上回った人
一流と超一流の間はミリの差だとして、なり方は難しくない。
例えば文章を読むにしても熟読に熟読を重ね、句読点の打ち方であったり、図表への挿入であったり、目の前のものをピカピカに磨き上げる人が超一流。
近藤社長は社会に出て、上記、時代背景もあり、超一流を目指さないと相手してもらえなかった。
とにかく大事な事は、毎日、これがベストか?これがベストか?と問い続け、今、出来る事の最善を尽くす事。
近藤太香巳の処世術
近藤社長は創業から上場に至るまで、その間には上場取消などの辛酸を舐めながらも
華麗なビジネスキャリアを築かれていますが、その分、人脈も多方面に広がり
その中で、お聞き出来た処世術に好きな人、大切な人には徹底的にゴマをすれというもの。
例えば石原元東京都知事から突然のヨットの誘いを受け、二つ返事で快諾。二人でクルージングに出た際、
急な誘いで、いろいろ事情/用事があったであろうにもかかわらず、何も言わずに駆けつけてくれた事に、「だからお前は信用出来る」と褒められたりといったエピソードが紹介され
ご自身の経験で、好きな人と関係を深めていって仕事などで上手くいったケースは数知れぬも、逆に「嫌だな」と思いながら打算的に付き合った結果、上手くいった事は一度もなかったとの振り返り。
未来は分からない。大切なのは「今」。
普段からマイナスの事は言わない心掛けをしているものの、思わず口からこぼれてしまった時には「うそうそ」と言って即座に取消し、運が逃げないように配慮。
嫌な事があったら作文する事を習慣にして、5行も書いているうちに思考が前向きなものに変わっていくようになる。
未来の事は分からないし、どうでも良い。大事なのは、今。今、小さな事で活躍している事が、これからの大きな事につながる。
暇な人ほど悩んでいるとして、一生懸命頑張り続けていると人間力は勝手についてきて、頑張る事で夢はどんどん膨らんでいく。
常にアンテナを立て、考える習慣
企画という事に関して話しがあり、無から有を生み出す発明を想像しがちであるが、自分(近藤社長)はコレとコレを組み合わせたら面白い事を見付ける発見家である。
街中でいろいろなコピーを見て、それが生まれた背景を想像したり、自分が政治家だったら、どういう風に喋るかといった事を常に考えている。
逆境は力に
創業の地、香川県高松市から東京に進出したもののビジネスパートナーに騙され、大阪から上京した父親に里帰りを勧められるものの
東京で再起を誓い、渋谷駅で涙ながらに別れた父親に大声で叫んだ事で、覚悟が芽生えた。
ITバブルが弾け、上場取消、世の中が騒然となり、銀行が総撤退の動きを見せ、一気に倒産の危機に直面するも
社員が取ってくれたファイティング・ポーズに鼓舞され、SBIの現北尾会長に融資を申し出たところ15分で30億円の支援を得る。これは後に300億円にして還元したとの事。
孫正義が拡げてくれた器
後に孫正義さんと事業を共にする事があり、近藤社長が目一杯の見込み値を告げたところ「一桁足りない」と返され、それは途方もない数字であったそうで・・ 孫さんのスケールを実感。
後に、孫さんの求めていた数値を達成することになり、頑張れば頑張るほど凄い人に出逢える縁に恵まれ、こういった人たちが背伸びさせてくれる事を実感。
裏返すと、こういった出逢いに恵まれないと自分の枠は広がらない。
リーダーとして背負った宿命
ピンチとチャンスは常に隣り合わせ、ピンチの時は社員にその状況を共有する事が大事だが、必ず解決策を提示する事が大事。
そしてリーダーは奇跡を起こす。
その裏側では、今でも月に5〜10日は誘眠剤の力を借りないと寝れない日があるそうな。
小さな凄い事の積み重ねが大河に
講演は、近藤社長が指摘されていた通り、4月に耳にしていた内容と骨子は一緒でしたが間近で聴いて伝わる人間性に思い。
よく「試練は乗り越えられる人のために与えられる」といったことが言われますが、近藤社長流に表現すると「人は絶望を希望に変えられる」。
これでも、まだ自分の能力30〜40%しか発揮出来ていないと振り返られ、何よりの自慢は社員との関係。
毎年、ご自身の誕生日は盛大に祝ってもられるとの事。昨年は社員から集められたお金で、数百万円のジェットスキーがプレゼントされたとの事。
別の場所で聞いた話しでは、東証一部上場の社長ながら、社員一人一人に誕生日のメールを欠かさないとか。
帰り際、一旦退場しかけ、聴講者一人一人と握手にしに戻ってきた姿に
起業後の実績は超一流の領域ですが、裏側には精緻な気配りが行き届いての事を実感させられました。