9月10日に始まった神田昌典さんのビジネスプロトタイピング講座の6回目。
当初は夏の暑さが残っていたように思いますが、今はすっかり秋ですね。
Microsoftからの出資を受ける日本発のQ&Aサイトの芽生え
今回の登壇は OK Wave 創設者の兼元謙任社長。不勉強でOK Waveについて初めて知りましたが
日本発で世界に進出しているQ & Aサイト。創業当時の年商が僅か40万円であったところ
今や40億円に近いところまで。ここに至る迄のお話がメインでしたが、
在日三世としてのバックボーンから幼少期に受けたイジメ、一生を共にしようと思った彼女が(先方の)親の意向から転校させられてしまったという辛い現実から
一度、命を絶つ決心をしたものの、たまたま早くパートを切り上げられたお母様に一命を取り留められ
病室で「生まれてきたのに、何も出来なかった」と悔いているところ意識が戻った。
険しき最悪の経験を糧にする道のり
そこからも話しは単純ではなく、家でボランティア活動に従事している折、着服の疑惑をかけられたり、家族の疲弊を招き、離婚を切り出されるなど。
上京して、活路を見出そうとするも、頼った有力には「お前の価値はボランティアしてくれていた取り巻きだ」と言われ、弱り目に祟り目といった状況。
頼るところを失ない、陥ったのがホームレス生活。逆に、ここで開放された義務感等から心地良さを覚えたものの
更に厳しい環境で育った人に目を覚ましてもらう鉄拳制裁に遭い、ホームレス生活をしながら徐々に社会との繋がりを持つに至った。
お金を稼ぐようになっても、ホームレス生活が続いたのは地元に残してきた家族の仕送りを行なっていたため。
ホームレス生活は2年近くに及んだそうですが、起業を模索していた際に奥様に会いに行き、思いを伝えたところ
仕送りで送っていたお金が手つかずの状態で残っており、その金額400万円が上述の起業資金にあてられた。
「何とかなる」の確信
そこからQ&Aサイトの立ち上げが始まるわけですが、当初は軌道に乗らず、資金が枯渇しそう(但し、何とかなると思っていたそうな)になったところで楽天の三木谷社長から1億円の融資を得る事に。
この後もYahoo!からの買収話しを断り、社員の3分の1が退職するなどの波瀾万丈がありながらも、現在の状況を迎える。
人は Why から始まるストーリーに引き寄せられる
講演の軸は、サイモン・シネックのゴールデン・サークルで言われる
の Why の部分にフォーカスする事の重要性。
OK Wave創業時も軌道に乗らなかったのは、Whyの部分を上手く説明出来なかったため。
ここで体調を壊し生命の危機すらあったようですが、復活すればwhyの部分を在日として育った履歴で説明する事を決意。
そこには家族の反対もあったようですが、人々の共感を得るに至り、転機を迎える事が出来た。
等身大の魅力、夢を実現したスケールのアンバランス
約85分の講義(+35分の質疑応答)を通じて、Googleを越える?!とも称されている企業の創業者のスケールとは程遠い兼元社長の物腰の柔らかさ
約150名の社員を抱えながらも人前に立つ事は稀なようで、そうせざる得ない状況では「歯を食いしばる」との表現を用いられていましたが
滲み出る優しさ。過酷な経験が今日の兼元社長を作った事になりますが、特別な人でなくとも、Googleをベンチマーク出来る企業を起こすことが出来るかもしれない、の現実感は聞き手として大いに心鼓舞される内容でした。