山口修一さんに学んだ安定を捨てた境地での成長:神田昌典ビジネスプロトタイピング講座 その八

 

ビジネスプロトタイピング講座で、当初のカリキュラムで用意されていた最終日。

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講義前の前方席の様子

追加日程の発表はありましたが、マインド編の位置付けの最終回。登壇は株式会社マイクロジェットの山口修一社長。

意図されていなかった生涯の選択

山口社長の専門はインクジェット。その出会いは研究室選びの1日を間違えて、翌日に残されていた(例年、不人気であった水力学研究室)枠を宛てがわれた事に始まったとの巡り合わせながら

山口社長の来るものは拒まずの姿勢で、それを受け容れた。やがて就職先も電力会社で内定したものの「先が見えてしまった」との事でドタキャン。

再度、就職活動を経てプリンターメーカーへ。そこで、待ち受けていたのは、何と同じ研究室の先輩。

与えれた研究のテーマがインクジェットで、そこから山口社長とインクジェットの長い歴史が始まる事に。

 

風雨に晒された10年以上の蓄積

入社3年目で億単位の失敗があり、入社10年で使ったお金は数十億円との事。

やれどもやれども技術の本質がみえ、周囲から批判や厳しい声に晒される環境下から、転職の道を模索。

具体的には国家試験を受けて、資格を取り、独立の道を模索するものの、気持ちが乗らないどころか、苦痛すら感じ断念。

再度、自身への問い掛けから、自分が持っているもので、世界に誇れるものが一つある事に気づく。

それは意外にもインクジェット技術で、その根拠は

膨大な時間と数十億の開発費を投じた世界一の失敗。そこを結果が出ていないだけで、失敗の数だけノウハウを蓄えている事を意識。

覚悟が定まり、社運を賭けたプロジェクトが始動。但し、結果が出ていなかった状況は変わらず、一転する事には至らなかったものの

考え方の枠は広がり、

不可能とか出来ないという事は、自分が自分に言い聞かせている言葉であって

普通は出来ない理由を一生懸命考え、アイディアは少しに過ぎない。必ず答えは見つかる事を信じ、どうしたら出来るか?だけを考えるようになった。

また、自分の努力に過大な成果を期待していないか?との問い掛けから

努力と成果の相関関係(下記)を理解するに至り、「成功を待てるようになった」。

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これは失敗すればするほど、成功に近づく。成功するには失敗を増やす。失敗を無くそうとしたら、良い事も起こらなくなる。

課題こそが自分を育て、悩みの向こう側にしか、成長は成功はない、との気づき。

能力を身につけるためには 、「Finish(フィニッシュ)」したという感覚を得る事が大事。自己のセルフイメージを高く持ち、一度「Finish」を経験すると、自分を信じられるようになる。

山口社長は逃げず、立ち向かった結果、インクジェットが天職と感じられるようになった。

同じ境遇にある人に「会社を変えるな、自分を変えろ」と助言をされる事もあるそうな。

 

起死回生、そして新たなチャレンジ

上記、思考のブレイクスルーを経て、売上ゼロというどん底の状況から数年で売上数千億円の起死回生の一発を遂げられたそうな。

そこで得られた感覚が、また印象的で

誰も成し遂げられなかった事を一度成し遂げると、安定という事には興味がなくなってしまったそうで、自分の未来が見えていて、その通りに生きる事が楽しいか?

一旦、内定先を辞退した時の感覚を再認識されたそうで、社内ベンチャーに応募するなどして、ゼロからのチャレンジを始められたそうです。

new beginnings

そこでは協力者がおらず、孤軍奮闘の中から次第に利益を上げて行くも、分社化見送りの憂き目に遭うなどして、独立を決意。

成功するための集中と切り捨ての選択

当初から40歳前に起業する事を描かれていたようで、数ヶ月前の状況で実現。但し、山一證券が倒産した時期で、周囲から決断を危ぶむ声もあったようですが

山口社長に不安はなく、在職中の仕事振りから、方々からの勧誘であったり、独立直後から依頼が立て続けにあったそうな。

また、起業にあたって決めていた事が有り・・

・大企業の下請けにならない

・嫌いなお客さんとは取引しない

・価格で勝負するビジネスはしない

・値引きはしない(3,000万円の案件で、1円下げれば発注するとの依頼も断ったとの事)

・手形は受け取らない

・同業者とのみ交流しない

・ビジネスが安定するまでは海外に販売しない

・お金を節約するために時間を使うようなことはしない

・ゴルフ、ゲームはしない(没頭する性格を自覚しているため)

というもの。成功する考え方は、集中させる事を明確にする事。例えば「手形を受け取らない」との原則も、経営者が資金繰りに時間を割かれている現状から、断固として原則を貫いた。

没頭の境地 x 環境に最適化される力

講演の方は2時間、更にそこからQ&Aと濃厚な時間となりましたが、商品開発に対する考え方であったり、物づくりへの思いであったり、起業分野の選択であったり、正しい会社の辞め方であったり、人材・採用に関する考え方であったり、話題は多岐に及びました。

一所懸命(一生懸命)という言葉がありますが、思わぬ展開(研究室決定)もそれを受け容れ、一つの環境、分野に身を投じる中で、一つの状況を多面的に捉えられ、ブレイクスルーであったり、現実世界の数千億円の売上であったり

ご自身を変えられていく中での成長が見事で、また「安定」には関心がないという生き様も、実際それを体現されている様は見事のほか、ありませんでした。

 


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