プロレスリングFREEDOMS所属 プロレスラー葛西純選手自伝『CRAZY MONKEY』読了。
私は未参加ながら、年初の緊急事態宣言発出直後のイベント告知から
瞬く間に満席となった動きから関心を抱き、サイン本販売機に
反応し手元にしていた著書。
運命の「陰性」結果
高校生時分、漠然とプロレスラーへの憧れを抱くも
” 俺っちの身長は170センチちょいで止まりそうだったし、体重も55キロくらいしかなかった。
「ウエイト部」の活動でそこそこ筋肉はついてたけど、ガリガリだし、そんな体の人間がプロレスラーになれるはずがないと思っていた。”(p040-041)
という当時の心境から、卒業後、上京し警備会社に就職。
” 上京して、プロレスラーか格闘家になるという夢を忘れかけてしまった俺っちは、風俗通いしたあげく、HIVに感染したんじゃないかと思い詰めていた。”(p049)
と自堕落への嫌悪感から
” 俺っちの人生は何だったのか。自問自答したあげく、じゃあ、これで陰性だったら、本当に自分のやりたかったことをやろう。
今やっているガードマンの仕事を辞めて、プロレスの入門テストを受けようと決意した。”(p050)
と検査結果から疑念も晴れ、大日本プロレスの門を叩きデビュー。
” そもそも、どんなタイプのお客さんにも有無を言わせない、痛みの伝わるような試合をしたいという想いがあったからね。
その気持ちは、連日連夜セコンドについて、間近でデスマッチを見ても変わらなかった。”(p072)
との初心が、段々と雪だるま式に膨らみ、常人には想像し得ない世界観を確立。
読み進めている最中、キャリアのターニングポイントになった伊東竜二選手との試合を視聴しましたが・・
大日本プロレス葛西純vs伊東竜二デスマッチ
直視出来ないシーンもちらほら ^〜^;A
家族の支え
過激なファイトスタイルから身体への負荷も過大で、負傷による長期離脱も再三。
家族思いの一面もファンに広く知られているようですが、
” 試合直前にはとつぜん「パパ、優勝できなかったらどうするの?」って聞いてきて、俺っちも「まぁ、プロレスやめるしかないかな」なんて答えたら、
「パパがプロレスやめちゃったら、僕が新聞配達のバイトするから」って言ってくれた。
まだ、小学校1、2年ぐらいなのに、息子のほうが思い詰めていた。”(p201)
という危機に直面しつつ、今も現役選手として極の面が貫かれているということが本書を通じて伝わります。
いまだ伝説の最中
プロレス界に関しては広く浅く分かっていたようなつもりも、「また更にディープな世界があったかぁ」と、
得意な世界ではないものの、ファンが熱狂する心情は理解でき、
そういったものに葛西純選手は
” 俺っちは対戦相手と戦うのと同じくらいの気持ちでお客さんとも戦っている。お客さんの想像を超えたことをやって、それに反応して歓声を上げてもらうことを意識している。”(p264)
との矜持が示されています。
(2021年)5月にはドキュメンタリー映画公開が予定されているようで、
映画『狂猿』特報
本書の記述が立体化されたであろう世界を見てみたいような、やっぱりちょっと怖いような・・