先週末、刊行記念トークショー⬇︎に参加した
春日太一さんの『黙示録 ー 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄』を読み始めて
全部で第13章まであるうち第1章〜第5章の『226』まで+第9章まで読み終えたので、そこまでのおさらい。
第9章だけ順番が飛んでいるのは、トークショー時に質問用紙が配布され、
「何か質問出来るかな・・」と、
(第9章に)『いつかギラギラする日』が含まれていたことから開演までの時間を使って目を通していた経緯。
奥山和由さんの念願叶った『いつかギラギラする日』
あまり映画ファン同士で語らっている時に『いつかギラギラする日』の話しになった記憶がなく
本書に、製作前からのエピソードがふんだんに盛り込まれていて
” 深作欣二という監督は、プロデューサー冥利に尽きる仕事をさせてくれる人でした。プロデューサーというのは才能に奉仕するところに本能的に喜びを感じる。
どんな犠牲を払っても、それを最も感じさせてくれる天才なんですよ。
「この人が赤字にしちゃうんだったらしょうがない」「この人が会社を潰すんならしょうがない」とさえ思わせてくれるというね。
そのために自分も含め誰かが犠牲になるなら、仕方がない。・・中略・・
鍋島さんが三船プロから独立して作った人気のプロダクションで当時、最も制作本数は多かったから資金源というのは結構あったはずなのに見事に倒産しちゃいました。”(p292-293)
という当時の熱量に、炸裂した余波に・・
そもそも奥山和由さんが、映画業界を志したきっかけが深作欣二監督であったという伏線。
難産であった大ヒット作
そして、他の作品では奥山和由さんの最大のヒット作と思わしき『ハチ公物語』の製作に関して
” 企画書を作って、松竹の企画会議に出したんです。そうしたら、興行の最高責任者が「話が古い」と言ったわけ。”(p105)
ということに端を発して、松竹では埒が明かないと、日本映画界のドンとして君臨していた岡田茂さんに直談判に行って・・
という件は、圧巻の行動力に、雪だるまが出来るが如く加速していく展開に、読み物としてかなりの面白さでした ^^
因みに奥山和由さん語録で、当たる企画に関して
” 「企画というものの中には、誰がやったって当たるコロンブスの卵みたいな企画ってものがある」ということです。その条件というのは「誰しもが知っているもの」、その次に・・”(p126)
なる件(くだり)は、数多の経験則から見出されたものであろうと興味深かったです。
思い出の作品が、より特別に
その他、引用したいところは数あれど、『いつかギラギラする日』に話しを戻すと、
10年前(2009年)に、丸の内で萩原健一さんを目の当たりに出来た機会に、
「『いつかギラギラする日』が好きです」と声がけさせて頂けば、
「作さんもお亡くなりになってしまって・・」と(萩原健一さんに)応じて頂けたことが今も鮮明で、
先日のトークショー後には、奥山和由さんに作品への思いを直接伝えられる機会にも恵まれ、
本書で、やはり映画史的に見ても他を寄せつけない作品であることが分かり、ちょっと鼻高というのか、報われたような心境に。
本書の後半はと、目次に目をやると
第6章 「たけしさん、暴力って何ですか?」ー 映画監督・北野武との邂逅
第10章 「片想いの街、ニューヨーク」ー ロバート・デ・ニーロとの共同製作の夢
と、見出しだけで興味惹かれるものあり、残り更に250ページ弱の読書が楽しみです。