とある瞬間に忌野清志郎さんの歌声に魅了され、熱狂的ファンであることにとどまらずRCサクセションのマネージャーにまでなったという経歴をお持ちの片岡たまきさんの『あの頃、忌野清志郎と ボスと私の40年』を読了。
Twitterで流れてきたサイン本販売情報↓に反応して、
入手叶えていた一冊。
本書は
” 中学生になった最初の期末試験の頃だったと思う。
・・中略・・
テレビに映ったその最初の画面で、私はヘンな声のそのおにいさんが好きになってしまった。いっしょに見ていた兄がチャンネルを変えようとしたので、威嚇して阻止してやった。”(p18)
との瞬間に端を発した著者 片岡たまきさんと忌野清志郎さんの人生が、
” RCの人気が坂を駆け上がりはじめる前、RCの私設会報誌『軽罪新聞』が発行された。新聞は、ライブ会場で配布されたり、送料分の切手を送れば手に入る。
これがまたセンスの良いオチャラケたっぷりで、ファンには手が届かないようなあのメンバーが、誌面ではいとも簡単にイジラれていた。不定期発行だったけれど、毎号とってもたのしみにしていた。
なんと、その新聞の紙面に、「社員募集」との記事が載っていたのだ。”(p62)
という展開から(記事に)前後して片岡たまきさんの圧巻の行動力によって次第に狭まり、交差していった日々が読みどころになって構成されています。
『軽罪新聞』のデスク及びアシスタントに始まり、やがてマネージャーに就いた距離感だからこその忌野清志郎さんの
” 私は80年代に、数えきれない極上の一瞬に触れさせてもらった。 ・・中略・・
彼の持つ無意識の魅力。そして、その魅力は、迷いとか戸惑いとかそんな感じの一切ない、明るい一瞬。”(p86)
に、
“「清志郎さんにとってロックとは何ですかね?」
とインタビューされて、
「いやー、オレ自身がロックですから」
とお茶目に答えていたけれど、これは本当だ。生き方と言ったら大げさだから、何と言おうか、体質・・・ いや違う、生まれ持ったものでもない。うまく言えないが、自分で自分に正直に向かってあげることなのか。”(p241)
をはじめとする人物評を支える人間臭いエピソードが満載。
また、忌野清志郎さんと親交の深かった竹中直人さんは片岡たまきさんのオファーに応え、巻末に「もうひとつのボーナストラックをあなたに」と題された45ページに及ぶ寄稿文を書き下ろされており、
” あっ! チャボさんの言葉を思い出した。
「清志ちゃん、結構出たがりだからな」
そう! 出たがり忌野清志郎。本当に可笑しいんだ。”(p311)
と溢れ出てくる思い出シーンの数々を披露。突如エンディングを迎え(=本書も終わってしまう)寂寥感を覚えずにはいられませんでしたが、
読書中感じられた忌野清志郎さんのエピソードから滲み出る温かみが何とも心地良く、読後早々にYouTubeにアクセスし、
“「竹中くん、一応こんな感じでざっと曲を作ってみました。『満月の夜』って曲はエンディングをイメージして書いたものです。”(p306/括弧書き省略)
なる本書の記述から聴きたくなった
Mangetsu No Yoru
「満月の夜」が無性に心に沁みました〜。しばし、忌野清志郎さんの楽曲から離れていた日々でしたが、波襲来の予感 🐰