川上未映子さんが示した生命の意味をめぐる真摯な問い:『夏物語』中間記

川上未映子さんの『夏物語』を読み始めて

第一部 二〇〇八年 夏

 1 あなた、貧乏人?

 2 よりよい美しさを求めて

 3 おっぱいは誰のもの

 4 中華料理店にやってくる人々

 5 夜の姉妹のながいおしゃべり

 6 世界でいちばん安全な場所

 7 すべての慣れ親しんだものたちに

第二部 二〇一六年 夏〜二〇一九年 夏

 8     きみには野心が足りない

 9 小さな花を寄せあって

 10   つぎの選択肢から正しいものを選べ

 11  頭のなかで友だちに会ったから、今日は幸せ

 12  楽しいクリスマス

 13  複雑な命令

 14  勇気をだして

 15  生まれること、生まれないこと

 16  夏の扉

 17  忘れるよりも

と、章立てされているところ「第二部  12 楽しいクリスマス」まで読み終えたので、そこまでのおさらい。

生々しさから根源的な問いへ?!

目次を書き出すだけでもサラッといける量ではないですが、ページ数にすると実に652ページ(!)

購入したきっかけがサイン本且つアメリカでも評判を得ていることによるもの。

アメリカでの反響伝わる本書(文庫版)帯

その安易さとは裏腹に、いざ読み始めると・・ 内容を含め相応の覚悟を求められる長編で、頭に全体像を上手く描けていませんが、

裏表紙に

> 大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、  > 自分の子どもに会いたいと思い始める。子どもを産むこと、持  > つことへの周囲の様々な声。そんな中、精子提供で生まれ、本  > 当の父を探す逢沢と出会い心を寄せていく。生命の意味をめぐ  > る真摯な問いを切ない詩情と泣き笑いの筆致で描く、全世界が  > 認める至高の物語。

とあり、第一部では若かりし頃の

” 夏の朝。窓は穏やかに光っている。大きくのびをすると、体のどこからぱしぱしと関節の鳴る音がした。

起きあがって布団をめくると、生理の血がシーツにまあるくついているのがみえた。ああ、こんな失敗は何年ぶり。”(p154)

といった生々しい描写に、第二部に突入すると

” 欧米ではカジュアルに精子バンクなるものを利用して出産をしている女性たちが本当にいるのだ。

日本だけでもこれまでに数えきれないくらい多くの人がこの技術によって誕生して、現実にやってのけている女性たちもそれとおなじ数だけ存在するのだ。”(p267-268)

といったやはり生々しくも、裏表紙の記載を頼りにすると次第に生命について考えを及ばされる展開を頭に想定。

女性支持が高いであろう内容 = これまで読書経験してこなかったアプローチの残り300ページ弱、心して向き合いたく思います ^^


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