先日、トロント・ブルージェイズとマイナー契約を結んだ川崎宗則選手の『逆境を笑え 野球小僧の壁に立ち向かう方法』を読了。
224ページを通じて感じる川崎宗則
書店に並んでいたのは知っていたものの、しばらくの放置を経て、今回、胸の高まり?を感じて購入。
主には、川崎選手の生き様に触れたくてとの動機からですが、最初は話し言葉で綴られたかの文体に「本の形式でなくとも・・」 ってな感覚を抱きましたが、
一冊の分量として向き合うと、川崎宗則という人間性が伝わってきて、爽やかさすら覚える読後感。
不安定を味方につける人生観
本の出版は2014年3月とあり、昨シーズン開幕前となりますが・・
” 相変わらず、おれの人生、不安定だよ。でも、それでいい。逆境なら笑い飛ばせばいい。” (97%/百分率は紙の本で言うところのページ数に相当/以下同様)
人生訓として・・
” 元気なら前に出よう。毎日、ハッピーに生きていこう。” (96%)
” 脳みそは遅れてる。足が先に行ってる。足が先に動く。脳みそがついてきていないこともある。脳みそもついてきてくれたほうがいいよ。
ただ、脳みそだけが先に行ってしまうよりは、よっぽどいい。頭でっかちよりはいいよ。おれはいつも足を使って、足を出して前へ出る。” (21-22%)
” 大切なのは前に出ること。成功するから前に出る。失敗するから前に出ない。そんなの、順番が違う。
前に出たら、ミスすることもある。前に出たら、うまくいくこともある。どちらも、別に人生の成功でもなければ、失敗でもない。” (55%)
であるとか、
” 世の中の人が言う成功と失敗って、よくわからない。みんな、成功とか失敗とか言うけど、何が成功で、何が失敗なのか、わからいね。” (54%)
” そもそも、人生の成功とか、人生の失敗とか、生きてる限り、そんなの、おれはないと思ってる。” (54%)
突き動かされる純粋な思い
日本のプロ野球界で築いた実績から高額の年俸が保証されている環境を手放して、
憧れのイチロー選手の居るアメリカに渡った際は・・
” 怖くて夜、眠れないこともあった。何が怖かったのか、当時はわからなかった。いや、考えないようにしていたのかもしれない。
夜中にパッと目が覚めてしまう。時計を見ると、まだ午前4時。あれ、なぜだろうって。それまでの人生で、あんなことは経験したことがなかった。
おかしいな、変な感じだな。
グラウンドにいけばスーッと落ち着くんだけど、それ以外のユニフォームを着ていない時間は、いつも精神的におかしかった。” (5%)
これは、高校卒業後、大学で4年間過ごしてからプロテストを受験しようと考えていたところに、ドラフトで指名を受け・・
” でも、俺は嬉しいというより、怖くなった。だって、自信がないんだもん。” (52%)
プロ入りに際し、故郷の鹿児島から福岡に渡り、球団の人が迎えにきてくれた際は・・
” 空港から寮まで、変な気分だった。まるで刑務所に行くような気気持ち。そのくらい、不安で押し潰されそうだった。” (55%)
これらの経験を通じて・・
” 好きなのは、不安定。おれ、安定感ゼロの人間だから。生き方に安定感は必要ないんだよ。” (63%)
の境地を悟った模様。アメリカ(・カナダ)での物怖じしないかの様子から、さぞオープンマインドの性格を想像しきや・・
” 自分を前向きに見せるようにコントロールする術を身につけただけ。本当のおれは後ろ向きなんだ。 ・・中略・・
大切なのは、前へ出ること。” (80-81%)
” イチローさんはどんな結果になっても前を向く。おれは、イチローさんから勇気をもらっていた。” (85%)
何があっても「前に出る」のが、川崎宗則の生き様
本では、大柄の選手ばかりと思っていたプロ野球の世界で、イチローの存在を知り、球場でその姿に心震わされ、
” イチロー選手が、おれの中の光だった。あの出逢いがなかったら、野球を続けてなかったかもしれない。
イチロー選手のおかげで、プロ野球選手になれるかもしれないっておれが思った。” (46%)
そこから不安と立ち向かいながらも、「前へ出続ける」ことで、自分の未来を切り拓いてきた川崎選手の生き様は
TV画面等を通じて抱いていた印象と相違ありませんでしたが、その裏側では天分の資質など一切なく
一般の人と同じ感覚の持ち主が、自身の心の声に耳を傾ける中で、舞台裏で苦難を乗り越えて生きてきた一人のアスリートの生き様を、一冊の本で見せてもらいました。
Extra Inning -10回表 –
P.S. レヴューを書いているうち「前にも川崎選手の事を書いてたな・・、確か」と。
>> 帰ってきたメジャーリーガー川崎宗則選手に学ぶ見事なまでの潔さ <<
Yahoo!のヘッドラインには・・
【MLB】川崎が“ハグしたくなる相手ベスト10”で4位にランクイン!
という統計記事が載り、これこそ記録に残る選手でなく、(ファンの)記憶に残る選手の典型で、日本人として嬉しいですね。